(696)ロードバイクに乗って、和歌山1泊2日の旅~尼崎を走りながら~

クランクを回しながら不安を覚える。
和歌山へ向けスタートしたばかりだが、「さぁ、80㎞のライドを楽しもう!」という気分にはなれない。
どうも引っ掛かる。
「俺、何か忘れ物してへんか…?」。
前回、淡路島を走った際はグローブを忘れた。
今回も何かを忘れているような気がしてならない。

俺は子供の頃から忘れ物が多かった。
教科書やノートを忘れるケースも普通にあったが、たまにしか使わないコンパスや分度器、そういった小物には特に弱かった。
その経験からか、何歳になっても自分自身を「抜けている頼りない奴」と評価している。
正直、自分を信用していない。

2号線を東へ進み、大阪を目指す。
まぁ、この地点(尼崎)は家から近いし何度も走った道だ。
クランクを回すことよりも、忘れ物の有無を確認することに集中したい(脳内で)。
「OTTO LOCKはバックパックに入れたな。確かに」。
「あれが無いとコンビニで駐輪でけへん。休憩でけへん」
「大丈夫、大丈夫。確かに入れた」。
「この前、忘れたグローブ。大丈夫やな」。
ブラケットを握る手に目をやり、「大丈夫」。
「明日の着替え、インナーパンツとかジャージはバックパックに入れたよな?」。
「大丈夫。入れた記憶がある」。
「スマートフォンの充電器、モバイルバッテリー、入れたよな?」。
「大丈夫、大丈夫」。
「鼻炎の薬とアンメルツは?」。
「大丈夫」。
「輪行バッグは?」。
「余裕。大丈夫」。
脳内のチェックリスト全てにチェックを入れ、とりあえずはほっとした。
が、数時間後、ホテルに着いて忘れ物に気付き、溜め息をつくことになる。
「はぁ…。それは盲点やでぇ…」と。

交通量がそれほどでもなかったため、脳内会話に集中できた。
頭を現実に切り替え、前を向く。
と、「あぁ、混んできたなぁ…」。
なかなか進まない車の列。
その中には、俺の天敵、阪神バス。
「だっる。阪神バスを抜いたり抜かれたり…が始まるんかぁ…」。
気が滅入る。

この後、大阪に出て和歌山まで走る。
かなり走りにくい道を。
経験上、ストレスが溜まるのは目に見えている。
なるべくなら、尼崎でストレスを溜めたくない。
「そろそろ決着を付けようか?どっちが上でどっが下か」と、阪神バスとの鍔迫り合い(つばぜりあい)などしたくない。

歩道に逃げる。
ロードに乗って歩道を走るのは、正直、不愉快だ。
心情として許せないものがある上、ガタガタの歩道はストレスと疲労が溜まる。
早く車道に戻りたい。
阪神バスよ。
さっさと、どっか行け。

つづく

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