(146)強風の中、明石焼きを食べる。Tさんとふたり、初めて走る明石ライド-1

ロングライドに出る時は、ほぼひとりで走る俺。
一応、俺の名誉のために言うが(まぁ、たいしてプライドも無いのだが)、友達がいないというわけでは無い。
世の中には物好きな人がいるもので、俺にも友達ぐらいはいる。
ただ、自転車つながりの友達は、いることはいるが少ない。

自転車つながりの友達のひとりに、Tさんがいる。
俺より年上で、40代後半のおっさん。
レシートの束でパンパンになった、野球のグローブと見間違うような財布を持ち、「何年前の物やねん?」とつっこみたくなるような、弁当箱(大)のノートパソコンと弁当箱(小)のようなアダプターをいつも携帯するTさん。
率直に、「ずぼらな人やなぁ」と思うが、社会的にステータスが高い仕事をしている人で、世の中とはわからないものである。

Tさんと初めて顔を合わせたのは、飲み屋。
知り合いのNさんが経営するお店で、その日、俺はカウンターに座り、ひとりで焼酎を飲んでいた。
多分、くだらないことを悩み、考えていたと思う。
すると、突然、釣りのクーラーボックスを肩にかけた、眼鏡の男性が入ってきた。
そして、店主のNさんと何か話していたが、「関係無いわ」と、俺は焼酎に集中した。
しばらくすると、目の前に魚のフライが出された。
「え?注文してへんよ」と思い、Nさんに目を向ける。
「こちらの方に魚を頂いたので」と、Nさんが手のひらを向けた先に、Tさんがいた。

毎年と言うか、寒くない時期は毎月恒例の鳴門ツアー。
俺も誘われたので、ロードバイクのホイールを外し、Nさんの車に押し込み、後部座席に座ると、助手席にTさんがいた。
初めてゆっくりと話すことができる機会なのだが、夜中なので、俺は眠たい。
仕事で疲れきっている。
にも関わらず、助手席に座るTさんは首を伸ばして、俺にどうでもいい話を語りかける。
Tさんは、コミュニケーション能力が高いのだろうが、高すぎて迷惑だった。
本当に。

鳴門で俺はサイクリングを楽しみ、NさんTさんの鯛釣りコンビは釣りを楽しんだ。
帰りの車の中、疲れ果てて眠ろうかとする俺に、またもやTさんの終わりが無いトーク。
気を使ってくれているのだろうが、俺にとって迷惑だった。
本当に。

そんな付き合いを通して、Tさんとは一緒に酒を飲む関係になる。
ある酒の席で、「僕も自転車持ってるんで、一緒に走りませんか?」と話をふられた。
どうも、Tさんの上司にマウンテンバイクを趣味にする人がいたとかで、Tさんもマウンテンバイクを買い、ともに楽しんでいた時期があったそうだ。

「俺が乗ってるのはロードバイク。Tさんはマウンテンバイク。性質が違いすぎて、一緒にどう走ればええねん?」と思ったが、自転車に興味がある人に誘ってもらえると嬉しい。
また、自転車つながりの友達がいない俺にとっては、是非、前向きに検討しなくてはいけない。

俺の中で、徐々にテンションが上がる感覚を覚えた。

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