(703)ロードバイクに乗って、和歌山1泊2日の旅~気のせいだ…と自分に言い聞かせる~

普段、生活している中で、当たり前のように人と接するが、会う人会う人のすべてに好感を抱くわけでもない。
中には、自分を大きく見せようとしているのか、無駄に偉そうな人や、無駄に啓蒙活動をするのが好きな人もいる。
「仕事とは何ぞや?」「人生とは何ぞや?」。
誰も聞いていないのに、天下を取ったような顔で語る人。
そういうくだらないのと対峙した際、俺は「だっるー」と思うわけだが、「どれだけクソのような人間でも、ひとつやふたつぐらいの美点はあるだろう」と、心の中で少し願っている。

同じように、「どれだけクソなライドでも、何かひとつぐらいはいいこともあるだろう」と思い、願いながら、向かい風を受けつつ26号線を南へ進む。
相変わらず、道は狭いし信号は多い。
交通量が多くなるたびに歩道へ逃げ、ガタガタの歩道を走る。
路面からの突き上げに不快感を覚えながら、「おい、何かひとつでもいいことあるか?」。
自分に問う。
「うーん、天気だけはええよな。蒸し暑いけど」。

クランクを回しつつ、ボトルに手を伸ばす。
「あぁ、もう空やんけ」。
「水、何本買っても切りが無いんちゃうか?」。
基本、趣味としてロードバイクに乗ることは、初期投資以外あまり金が掛からない…と俺は思っている(ホイールにこだわらなければ)。
現に、普段近くのサイクルロードを走る時は100円しか持たないし、少々遠出しても500円で十分。
ロードは、財布に優しい趣味なのだ。
が、暑い時期に遠出する時は別だ。
「今日、水、何本買ったんやろ?」と思いながら、今回のひとつ目の目的地、墓場を目指した。

ロードに乗って墓参りするのは、この日が初めてではない。
何度も経験している。
そして、何度も「嫌がらせか?遠すぎるやろ…」。
電車に乗って行っても、「遠すぎるで…」。
また、子供の頃に親の車で墓参りした際も、「勘弁してくれよ…。もっと近所に墓立ててくれよ…」とよく思った。
当然、今もリアルタイムでそう思う。

名前の知らない川、知らない橋を渡る。
何となくだが、「もう墓は近いはずや」。
そして、何となく視線を東に向けると、灰色の雲。
「まさか、雨が降る感じ?」。
嫌な予感。

冷静になろう。
出発前に天気予報のチェックはしている。
雨は降らないはず。
「うん、気のせいやな」。
「あの雲は幻覚」。
「ほんまに俺は心配性やからなぁ。自分でも困りますわぁ」。

真横を通り過ぎる車に気を使い、少し進んでは赤信号、少し進んでは赤信号。
左足を地面に付け、「早く青になれ」と信号を凝視していると、「ポトッ…」。
カスクを通して、何かが頭に落ちてきた感触。
「気のせいやな」。
「うん、雨は降らん」。

ジャージのバックポケットからスマートフォンを取り出し、Googleマップで現在地を確認していると、「ポトッ…」。
スマホの画面に水滴。
「気のせいやな…」。
「うん、気のせいや…」。

つづく

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