(725)ロードバイクに乗って、和歌山1泊2日の旅~Tさんと俺③~

TさんからのLine、「久しぶり~。××日の日曜日、昼飲みせえへん?」に返事をしなければならない。
「行く」か「行かない」か。
まぁ、彼女に対し悪い感情は無いが、どうも気が進まない。
「とりあえず、急いで返事するよりも走りながら考えようか」。
俺はクランクを回す。

相変わらず嫌がらせレベルに信号の多い道を進み、泉佐野市(関西国際空港がある)までたどり着いた。
西宮市の家へは、残り50㎞も無い。
まぁ、距離だけ考えると大したことはないが、走りやすい道ではない。
「うんざりやわぁ…」。
大きく息を吐き、赤信号を見詰める。

「あ、あかんわ。いきなり忘却しかけた」。
俺は、Tさんへの返事を考えなければならない。

Tさんの誘いに「はい、行きましょう」と言いにくい理由として、まず、俺にはちょっとした後ろめたさがある。
一昨年だったと思うが、共通の知人…と言うか同級生が飲食店をオープンした。
「なぁ、一緒に行けへん?」。
誘ってもらい、お互いに予定を調整し、日を決めた。
が、その前日になって「定休日やわ!」と判明。
「しゃーないなぁ。また都合のいい日があったら連絡するわ」。
Tさんにそう伝えた後、しばらくして世の中はコロナ。
緊急事態宣言がどうの、まん防がどうの…というご時世に。
いつの間にか、彼女との約束は忘却の彼方へ。
「後ろめたいわぁ…」。
「今さら、どのツラ下げて会うねん…」。

また、Tさんとふたりで会うとは限らない。
それも問題だ。
以前にも、何度か「krmくん、飲もう!」と言われて飲みに行ったところ、中学校の同級生が何人かいた。
で、もしも…だ。
「今回、もともと大して友達でもなかった人間が来た場合、どうしよう?」と思う。
中途半端すぎる関係の人間と飲むぐらいなら、初対面の人と飲んだ方が気持ちは楽。
あと、「ジ・モ・ト サイコー!」みたいなノリの奴がいても困る。
何か疲れる。

普段、まったく思い出すことのない、中学時代のことを思い出すように努める。
「こいつには会いたくないよなぁ」といった、嫌いな人間はいない。
ただ、先ほども書いたが、もともと友達でもない人と会う…ことに対して、積極的にはなれない。
「う~ん、Tさんは誰と誰に声を掛けたんやろ?」。
考える。
「ちょって待てよ。考えたところで分かれへん。Tさんに聞いたらええやんけ」。

歩道に上がり、停止。
Line起動。
「××日のことやけど、誰を誘ってんの?」。
「krmくん以外、誰も誘ってへんよ。××日は都合悪い?仕事忙しい?」。
「仕事は調整できるよ」。
「じゃあ、どこで待ち合わせする?」。

「待ち合わせ?梅田でお願い」。
「梅田?」。
「うん、梅田。俺、梅田がいい。お願い、梅田にして」。
俺は梅田に固執する。
大阪市内に住むTさんにとって、梅田は都合が悪い街ではないはずだし、俺は電車の乗り換えずに行ける。
もうね、コロナのせいで遠出する機会が減ったせいか、乗り換えが大嫌いになった。

「うん、梅田でいいよ」。
「助かるわぁ」。
「じゃあ、××日の日曜日、13時に梅田でね」。
「はいよー」。
「お店はどうしよう?krmくん、何か食べたいものある?」。
「ピザ!!」。

つづく

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