(733)意外に良かった鳴門徳島サイクリングロード-4

文明橋を渡り、左に曲がる。
鳴門徳島サイクリングロード、スタートだ。

相変わらず人気の無い町。
過ぎ行く車も少なく、「めっちゃ走りやすいわ」。
自然に熱気が高まり、ガンガン …ガンガン…。
クランクを回す音が脳内で響く。
自由に、我が儘に走ることができる環境。
俺の望んでいた環境が、ここにある。

と、気分が乗ってきたところで、背中に振動。
「何や?Nさん(50代 男性 この時、鳴門のどこで真鯛釣りをしている)からのメールか?」。
背中に手を回し、ジャージのバックポケットからスマートフォンを取り出す。
昔の同僚FからのLINEだった。
内容を確認すると、「お盆休みの件、何でスルーしたんですか?」。
俺からすると、「何の話?」だ。

脚を止めて考える。
「俺は何をスルーした?」。
思い当たる節は無い…と言いたいところだが、思い出した。
盆前に、いくつかのLINEグループから「連休中、みんなで飲もう」。
そんな連絡が入っていた。
が、躊躇無く「通知OFF」。

「お店でお酒飲まれへんから、○○の家でみんな集まろう」と誘われて、「いやです」と答える気は無かった。
行きますよ。
ただ、グループ内でのやり取りが本当に鬱陶しい。
「その日、芦屋に行く用事があるから、××でケーキ買って持って行くね」。
「ありがとー」。
そういった、「お前らふたりで話しとけよ」までいちいち通知されるのが煩わしいので、「はい、通知OFF」。
俺は、ある程度日時が決まりかけてから参加するつもりでいた。
が、「通知OFF」を「通知ON」に変更することを忘れていたようで…。

とにかく、今は走っている場合では無い。
「何でスルーしたんですか?」に対し、何か返答しなければ。
この場を切り抜けなければ。

「それが、いろいろあって…」。
とりあえず、こんな感じで返事しようと思ったが、「『いろいろ』って何やねん?」。
我ながら違和感を覚える。
「お前、盆休み、だらだらと過ごしてたやんけ」。
「確かに…」。
自分に指摘され、狼狽える俺。

冷静になれ。
冷静になれ。
そう、くだらない嘘を吐こうとするから苦しむのだ。
正直に伝えよう。

「LINEグループのやり取りが鬱陶しいから、通知をOFFにしたんやけど、ONに戻すん忘れてて」。
「みんな元気にしてた?楽しく飲んだ?」。
元同僚FにLINEを返し、今日で約1ヶ月経つ。
既読にはなったが、Fからの返事は無い。

つづく

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする