(735)意外に良かった鳴門徳島サイクリングロード-6

潮風が心地好い。
海を眺めながら、のんびりクランクを回し続けたい…ところだが、そういうわけにもいかない。
幅2mほどのこの道は、路面に問題がありすぎる。
濡れているし(前日の雨のせいか?)、小石がゴロゴロ。
スリップが怖い。
更に、貝殻が散らばっているではないか。

ロードバイクに乗ってあちこち走っていると、「この世界は自分にとって都合のいいように構築されてるわけではない」。
そう思い知らされることが多い。
風向きや交通量、それに路面の状態によって、「勘弁してくれよ…」。
自分にとってマイナス要素の多い環境と直面しまくる。
結局、「まぁ、そういうもんや」と諦めるわけだが、「貝殻」は自分にとって新しいトラップだ。
タイヤやチューブが破損しないことを祈りつつ、恐る恐るクランクを回す。

「それにしても…」。
ひとり呟く。
「それにしても、路面の濡れ具合、ひどすぎるやろ…」。
繰り返すが、前日の雨のせいかも知れないし、海に面した道なので、波をかぶったのも知れない。
まぁ、いい。
それは仕方が無い。
濡れた路面、そして少々の水溜まり。
仕方が無い。
ただ、途中から坂道に入り、「何やこれ?」。
ちょっと焦った。
坂の上手から流れてくる水によって、道がちょっとした川のようになっているではないか。

後輪が回る度に水が跳ね、背中に当たる感触を覚える。
「あぁ…、ジャージ、帰ってから洗わなあかんなぁ…」。
「仕方無いかぁ…」。
サドルから腰を上げ、緩い坂をダンシングで登っていくと、道は森に囲まれた。
相変わらず路面は濡れたまま。
濡れた落ち葉を踏み、スリップしないよう気を付けつつ、ゆっくりと進む。

「自然豊かな環境はええんやけどなぁ、自然が敵になりすぎてへんか?」。
そんな文句を言いたくなったところで、さほど長くない坂を登り切った。
次は下りだ。
下りが待ち受けている。
ここで注意が必要だ。
コンディションの悪い道でスピードが出ると、事故に繋がる。
「慎重に、慎重に」。
そう自分に言い聞かせて進む。

と、道が途切れ、階段が現れた。
登り同様、下りも坂道と思っていたが、まさか階段とは。
「まぁ、ええわ」。
SPD-SLシューズにクリートカバーを嵌める。
ロードバイクを右肩で担ぎ、「さぁ、降りよか」。

ただでさえ歩きにくいSPD-SLシューズで、濡れた落ち葉の散らばった階段を降りる。
これがなかなか神経をすり減らす作業で、気を抜くと滑ってしまいそうだ。
また、階段を囲む木々の下を、蜂だか虻だか分からない虫が飛び回っており、「こっちに来るなよ…。こっちに飛んで来るなよ…」と念じる。
俺は虫が苦手だ。
オオクワガタのような、金になる虫以外は嫌いだ。
「こっちに来るなよ…。こっちに飛んで来るなよ…」。

つづく

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