(151)強風の中、明石焼きを食べる。Tさんとふたり、初めて走る明石ライド-6

淡路ジェノバラインの乗り場に行き、船に乗るわけでもないのにベンチに座った。
雨は降っていないが、天気は悪い。
次の日、近畿に台風が来るようで、強風の中、テイクアウトの明石焼きをおっさんふたりでつつこうとした。

壁に立て掛けたTさんのマウンテンバイクが倒れる。
風が半端じゃない。
気を取り直して、明石焼きを食べよう。

パックを開け、Tさんは容器に入った出汁をまぶしてくれた。
俺は箸にひとつ挟み、口に入れ、顎を動かす。
「うまい」。
素直に「うまい」と感じた。
いづもさんの明石焼き、ちょっと感動した。
俺は大阪出身なので、たこ焼きには縁があるが(頻繁に食うわけでもないが)、明石焼きに対して、有り難がって食うほどの習慣はなかった。
俺は世間知らずだった。
考え方が変わった。
有り難がって食いたい。
すごくうまい。
ほどよい大きさのタコ入り卵焼きに、奥深い風味の出汁。
「こんなもん、うまいに決まってるやんけ!」と思った。

3つ4つ、パクパク食った。
夢中になりそうになった。
だが、俺の中で理性が働く。
先ほど、店の前で、「俺、具合悪くて食欲無いんですよ!」と、さんざんTさんに言った手前、食べるに食べれない。
引っ込みがつかない。
そう思いながらも、うまいもん食った笑顔が自然に出そうになり、「ちょっとトイレ行ってきます」と、席(ベンチ)を外した。

「いづもさんの明石焼き、ほんまにうまかったな。次はひとりで二人前食うたろ」と思いながら、Tさんに見えない所でニヤニヤした後、ベンチに戻った。
ふと、俺が座っていた位置を見ると、濡れている。
玉子の小さいかけらのような物が飛び散っている。
「何これ?」と、Tさんに尋ねたところ、強風が吹いてきて、明石焼きが入ったパックが飛んで行ったとのこと。
俺は、「いちいち面倒くさ」と思い、さっさと西宮に帰ることを提案した。

帰りも、海沿いの区間は横風は厳しかったが、その先はそれなりに快適に走れた。
相変わらず、Tさんは元気いっぱいで、「もうちょいスピード落としましょうか?」と言いながら、俺が振り返ると、歩道を暴走して、車道を走る俺の前にTさんがいたこともあった。
短距離ではあるが、時速35㎞ぐらいで走ったのだと思う。
もともと、Tさんは学生時代に野球かサッカーか何かをしていたので(飲んでる時に語られたが、興味が無かったので覚えていない)、身体能力は高いのだ。
まぁ、「こんな所で無駄に高速で走って、いったい何がしたいねん?」とも思ったが、我々は事故も無く、元気に帰路に着く。

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