(152)強風の中、明石焼きを食べる。Tさんとふたり、初めて走る明石ライド-7

明石市から西宮市に戻る。
途中、テンションも高く元気なTさんから、意味不明な大声を何度か聞いたが、後で確認すると、「車道の隅に看板がせりだしてるから、気を付けて下さいね」とのこと。
「見たらわかるわ」と思ったが、Tさんなりの心遣いなのだろう。
色々と面倒くさい人だが、憎めない人でもある。

一度、ふたりともそれぞれ家に帰り、風呂に入って汗を流した。
そして、近所の焼肉屋で落ち合い、乾杯。
酒が入り、いつも通りよくしゃべるTさん。

「80㎞~90㎞程度やけど、無事に完走できてよかったわぁ」と思い、俺は安心したのか、自然にその言葉が口から出た。
「いやぁ、本当ですね。朝からチェーンが外れて大変でしたが、治してもらってよかったです。あのままやったら、キレて帰ろうかと思ってました」とTさん。
「何でやねん?何で俺がキレられなあかんねん?」と思ったが、面倒なので、無視。

焼肉を頬張りながら、考える。
俺はクロスバイクを買ってからも、ロードバイクに乗りだしてからも、ほぼひとりで走ってきた。
楽しさも苦しみも、ひとりで受け入れていた。
今回、Tさんとふたりで、明石までの80㎞ちょいを走り、お互い共感できたこと(できなかったことも多々ある)を話し合えた。
それは、ひとりでは経験できない喜びだ。
また、初めてそこそこの距離を走ったTさんに、俺は何かとアドバイスしたが、それが役に立っていたら嬉しい。
「近いうちに、またふたりで走りたいものだ」と思いつつ、俺たちは焼肉屋を後にした。

数日後、Tさんからメールが入った。
「××月××日、時間ありますか?」と。
「酒の誘いかな?」と思い、返事しようとしたところに、連発でメールが入る。
そこには、「一緒に、参加しませんか?」と記されており、URLも貼り付けられていた。
「何やろ?」。
確認してみると、「いなちくロングライド」という自転車のイベント。
「おぉ、Tさん、積極的!自転車にはまりだしたな!」。
俺は嬉しくなり、「喜んで!」と返す。

実は、俺も自転車のイベントに参加するのは初めてで、誘ってもらえて嬉しかった。
「ロングコースとショートコース、どっちに参加しましょう?」と相談され、コースマップを確認する。
「えらい山の中やな…」と、登りが嫌いな俺は、一瞬たじろいだが、距離は80㎞少し。
いける。
だが、Tさんへの配慮も必要だ。
「自分はロングコースにしますが、Tさんがショートコースにするなら、自分もあわせますよ」。

Tさんからの返事を待つ。
その間、もう一度コースの詳細を確認しようと思い、サイトに目を通すと、「受付締切」、「定員に達しました」の文字が…。
「はぁ?」と4、5回つぶやく俺。
「何やねん?人を誘うのは、受け付けしてるかどうか確認してからにしてくれよ、Tさん…」。

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