(746)意外に良かった鳴門徳島サイクリングロード-17

右手をハンドルから離し、素手で汗を拭く。
「おいおい…。さっきの激しく降った雨、あれは何やってん…?」。
空は晴れ上がり、気のせいか、急に温度は上がった。

「あかん…。ちょっと、頭痛くなってきたわ…」。
ボトルケージに手を伸ばし、ボトルを掴んだ…つもりが、コトコトコトコト…。
路面を転がるボトル。

脚を止め、ボトルを拾い上げた時、また頭に軽い痛み。
「やっばいなぁ。熱中症になったら、たまったもんちゃうで…」。
水を飲みながら考える。
「リタイアしとく?」。

俺はプロでもなければ、アマチュアでもレースに出ているわけではない。
「頭、痛いねん…」は、リタイアする理由として十分だ。
が、「ちょっと待てよ」。
頭痛に苦しむ俺にとって、走ることに対する執着…など無い。
微塵も無い。
ただ、ひとつだけ引っ掛かるのだ。
「帰ってから、このことを記事に書くよな」。
「まぁな」。
「たかが32㎞のサイクリングロードでリタイア…は、格好悪いよな」。
「まぁな」。

確かに格好悪い。
全国に散らばる、ブログの更新を楽しみにしている人たち(多分3人ぐらい)。
彼らに、記事を通して俺の格好悪い姿など伝えたくない。
「うん」。心の中で頷く俺。

ただ、よく考えてみると、「そもそも、今まで格好良い姿を伝えてきたか?」。
いや、伝えていない。
まず、根本的な問題として、俺は格好良い行いなど何もしていないので、伝えようがない。
書きようがない。

ならば…と考える。
「ここは、フカしてフカしてフカし倒したらええんちゃうか?」。
例えば、「俺な、この前、どこどこの何々をボコボコにしたってなぁ」と、日常的に「俺、喧嘩強い」アピールをするが、喧嘩している姿を誰も見たことが無い…というパターンに倣う。
「俺な、愛車のDOGMAでな(持ってない)、六甲を時速40㎞/hで登ってやなぁ(死ぬわ)」みたいな感じで、フカす。
フカしてフカしてフカし倒すのだ。
俺が走る姿など、どうせ誰も見ていないのだから。

パーン(手を打つ音)。
「なるほど。これはアリやな」。
ブログにおける新機軸が見えた。
リタイアせずに、愛車のDOGMAで鳴門徳島サイクリングロードを突っ走ったことにすればいい。
パーン(手を打つ音)。
が、一方で「アホらし」。
残った水を喉に流し込んだ後、俺はサドルに跨がり、次へと進む。

確か、道の脇に「鳴門徳島サイクリングロードは←ココ」みたいな立て看板が置いてあったと思う。
「はいよ」。
川沿いへ導く狭い道。
ゆっくりと走る。
あまり整備されていないのか、道の端に生える雑草が少し邪魔。
「鬱陶しいな」。
「ま、どうせ俺しか走ってへんし、真ん中を進もうか」。
と、その時、「ギャアアアア!!」。

つづく

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