(750)意外に良かった鳴門徳島サイクリングロード-21

川沿いの道を進み、やがて海に出る。
俺は脚を止め、全身に潮風を受けながら、空に舞う海鳥を見詰める。
「あぁ…、自然を愛し、動物を愛する自分が大好き…」。
と、自分に酔いたかった。
酔いしれたかった。
しかし、予定は狂った。

「またか!?また『工事中』かよ!」。
立て看板の前で苛立つ俺。
参った。
「この先 工事中」ということは、川沿いの道を進めない。
迂回しなければならない。
民家や畑に囲まれた、何の面白味も無い道を、くねくねくねくね…と。

ただ、俺としても…だ。
いい加減、黙っているわけにもいかない。
「何が『工事中』じゃ!こんなハッタリがなぁ、何度も通じると思うなよ!」。
立て看板の脇を通り抜け、川沿いの道を走る。
強行突破だ。

と、道の端に黒いミニバン。
知らないおっちゃんが、トランクを開けてクーラーボックスを取り出している。
おそらく、工事関係者ではない。
ただの釣り人。
「警告を無視…か。俺と同類やな」。
「やっぱりなぁ、男の中の男ってもんは、我が道を進むもんや」。
「『工事中』もクソも無いよな、うん」。

おっちゃんに対し勝手に親近感を抱きつつ、100mほど進んだところで、また立て看板。
「工事関係者以外 立入禁止」。
バリケードが設置され、もう先には進めそうにない。
「あぁ…」。
来た道を戻る。

迂回路、スタート。
予想通り、民家と畑の間をくねくねくねくね…。
くねくねくねくね…。
くねくねくねくね…。
興味など微塵も湧かない退屈な景色。
そして、ストレス。
「あ~あ」。

それにしても…だ。
この迂回路は、これまで走った迂回路よりたちが悪かった。
俺としては、本来のルートである海側へ出たい。
ただ、建設中の高速道路が道を塞ぐ。
工事のため、高速道路の向こう側、海側にはなかなか出られない。

「ここも工事中かよ…」。
「またか…」。
「ここもか…」。
「もうええやろ…」。
「お願い…」。
「お願い…、許して…」。
「また、ここもダメ…?」。
「いい加減、勘弁して下さい…」。
「本気で…勘弁して下さい…」。

絶望的な気分で工事現場を眺める。
と、「あら?」。
俺は視力が悪いため、目を細めてもう一度見る。
と、「あ!」。
工事中ではあるが、高架下トンネルは通れそうだ。
「あ、行ける!やっと、向こう側に出れるわ!」。

つづく

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