(761)ロードバイクに乗って撫養城へ、らーめん山東へ~餃子と向き合う~

「ラーメン山東」。
前を通るたびに寂れた雰囲気を感じていたが(勝手に)、「ここは度胸試しだ」と入店する。

客0。
店員も0。
「俺、どうしたらええねん?」。
入口で立ち尽くしていると、「何や?」。
厨房の奥に動く影。
俺は視力が悪いため、目を細めて見詰める。
「あ、誰かおるわ」。
どうも、こちらに背中を向けた女性が、何か作業をしているようだ。
おそらく、店の人だろう。
「あの、すみません」。
「いらっしゃいませ」。
カウンターの端、入口に近い席に座る俺。

店内を見回し、「なかなか年季が入ってんなぁ。町中華やなぁ」。
次にメニューを確認し、何を注文しようか考えたい…ところだが、無い。
目の前にも隣の席にもメニューが無い。
「面倒くさっ」。
上半身を捻り、壁に貼られたメニューに目を向ける。

「何々?『中華そば』に『支那そば』か…」。
「なるほどね…って、どう違うねん!?」。
絶叫しそうになったが、自制心が勝った。
一度落ち着いた後、壁の隅に貼られている説明書きに気付く。
「何々?中華そばは白湯スープで、支那そばは豚骨ベースの醤油味…と」。

考える。
中華そばと支那そば。
正直、どっちでもいい。
まぁ、何となく…、支那そばを選択。
サイズは、(大)と(小)を選べるが、(小)でいいだろう。
初めて来た店で(大)を選択するのは冒険すぎる。
が、腹は減っている。
それなりに食べたい。
なら、サイドメニューに唐揚げでもあれば、脳内の注文リストに加えたいところだ。
唐揚げにライス。
いいねぇ。
上半身を捻ったまま、目線を右から左へ。
唐揚げ…、唐揚げ…、唐揚げ…っと。
無い。
唐揚げが無い。
まぁ、いい。
それはいい。
唐揚げが全てでは無い。
うん、いいのだ。
唐揚げ以外に、選択肢があった。

「すみませ~ん」。
女性店員(もしかして店主?)に声を掛ける。
「支那そばの(小)と餃子、ライス、あと、瓶ビールをお願いします」。
「はい」。

瓶ビールがささっと出され、グラスに注いで、ひとりチビチビ。
「今から現れるラーメンは、どんなものなのか…?」。
期待と不安。
俺が注文した支那そば(小)は、¥450だ。
その時点で不安(大)。
しかし…だ。
番狂わせがあるかも知れない。
また、番狂わせが無くても、餃子がある。
ラーメンがしょぼくても…だ。
餃子で取り返してくれれば良い。

二段構えで俺は待ち受けている(ビールを飲みながら)。
「来い、来い」と。
俺の読みでは、餃子は外さない。
根拠は無いが、外さないだろう。
美味い餃子。
その時点で、俺の勝ちだ。
何と勝負してるのか分からないが。

脳内でシミュレーションしているところで、「お待たせしました」。
餃子とライス。
ライスには、付け合わせに福神漬け。
「カレー屋でもないのに、珍しいなぁ」と思いつつ、心の中でニヤニヤ。
俺は福神漬けが好き。

さて、ここからだ。
勝負が始まる。
が、待て。
焦るな。
待て。
待て。
急ぐな。
脳内で、桶狭間の合戦に挑む信長が敦盛を舞っている。
そして、叫んだ。
「出陣!」と。
「御意」。

まずは、小皿に餃子のタレ。
続いて、ラー油を少々。
箸で餃子を掴み、「あれ?」。
餃子を乗せた皿の脇に、辛子。
「何や?」。
餃子+辛子は、相性がいいのだろうか?
俺には馴染みの無い文化。
まぁ、いい。
それはいい。
気を取り直して、掴んだ餃子を小皿へ。
慎重に。
慎重に。
小皿を少しかすめる程度に、餃子をタレとラー油に付け(プロだね)、そして口に含む。
感想としては、「うん、ノーコメントで」。

しくじった。
餃子は、期待ほどではなかった。
しかし…だ。
この後、俺は支那そば(小)に魅了され、ラーメン山東ファンになる。

つづく 

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