(768)ロードバイクに乗って津田引田線を走り、鳴門で夜を過ごす~俺のスケジュール~

鳴門(徳島県)の渡船乗り場。
小鳴門大橋を眺めながら、ひとり佇む俺。
Nさん(50代 男性)は、もういない。
今頃、近くの海で釣りをしているだろう。
まぁ、いい。
それはいい。
俺には俺のスケジュールがある。

まず、「うだつの町並み」に向けて走る。
距離は、往復で100㎞ほど。
それなりに達成感を得られる距離だ。
うだつの町並みでは、江戸時代から栄えた、歴史を感じさせてくれる何十軒ものお屋敷を見て楽しむ。
いいねぇ。
ちなみに、以前にも一度訪れているが、辺りを飛び回るスズメバチに恐怖し、ゆっくりと観光できなかった。
今回はスズメバチがいないことを祈る。

観光の後、鳴門に戻り「ビジネスホテル鳴門」へ。
いつも、Nさんと鳴門を訪れると、日帰りの強行スケジュールになるが、今回は違う。
1泊2日の旅。
俺はホテル。
Nさんは車中泊。
まぁ、窮屈だろうが頑張ってくれ。

ホテルのチェックインは15時。
その時間よりも早く着きすぎると、それはそれで都合が悪い。
まぁ、うだつの町並みで観光する時間を長めに取れば問題無い。
「さぁ、行こか。うだつの町並みへ」
俺はサドルに跨がった。

が、少し進んで脚を止める。
嫌なことを思い出した。
それは、うだつの町並みへのルートだ。
以前、訪れた時、それなりに交通量の多い道を走ったような…。
あまり広くない車道の隅を走り、鬱陶しいと思いまくったような…。
歩道に逃げると、ガタガタすぎて不快感を覚えまくったような…。
「うん、やめとこ」

スケジュール変更。
「昔の町並みが残ってる観光名所、他にあれへんかな?」
スマートフォンで調べる。
「おっ!」
意外と近くにあった。
引田(香川県)だ。
ここにも、江戸時代に栄えた豪商のお屋敷が建ち並んでいるらしい。
「うん、引田に行こ」
クランクを回す。

「11号線を北に進んで、海が見えたら西に…やな」
これまで、何度も鳴門~高松間を走った俺にとって、11号線は馴染みのある道。
また、その途中で引田駅の前を通るため、引田の町にも馴染みがある…つもりだ。
いつも通り過ぎるだけで、立ち寄ったことはないけど。

海が見えてくるまで、ちょっとした登り。
何台ものトラックが俺を避け、そして追い越して行く。
「1、2、1、2…」
「トラック、こわっ」
「1、2、1、2…」
やがて下りに入り、海が見えた。

ハンドルを左に傾け、西へと進む。
右手には、海。
引田の町は、もうすぐだ。
鳴門~高松間を何度も走った俺からすると、引田はすぐそこ。
鳴門をスタートし、最初の町だ。
が、ちょっと待てよ。

脚を止める。
引田までは20㎞も無い。
「近すぎるやんけ…」
サイコンに目をやり、時間を確認すると、7時半。
繰り返すが、ホテルのチェックインは15時だ。
「おいおい…」
「どれだけ時間を潰さなあかんねん…」
悩む。
悩む。
悩むが、悩むこと自体が面倒くさくなってきた。
「とりあえず、引田に向かおう」
「後のことは、後で考えよう」
ハンドルを握る。
海を眺めながら、俺は脚を回した。

つづく

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