(769)ロードバイクに乗って津田引田線を走り、鳴門で夜を過ごす~何か面白いことは無いか?~

鳴門から引田へ。
俺が進む11号線は、右手に海、 左手に山が続き、小さな町を抜けると、また海と山。
数年前、この道を初めて走った時は、景色に見惚れ、また、俺の住む阪神間には無い走りやすさに感動した。
が、何度も何度も走っているうちに、いつの間にか飽きた。

「退屈やなぁ」
クランクを回しながら思う。
脚は忙しいが、頭は暇。
たまに追い抜いて行くトラック以外は、さほど車も走っていないため、神経質にならず、自然とリラックスできる。
ただ、リラックスできるからこそ思うのだ。
「ほんま、暇やなぁ」と。

暇なら、何か面白いことを見付ければいい。
脚を回しつつ、道路の端を凝視する。
しかし、面白いものが転がっているわけでもない。
歩道に目をやる。
思わず、「何でやねん!?」。
そうつっこみたくなるような変わった人が歩いていれば、こちらとしては助かるのだが(とても)、そんな都合のいい話は無い。
そもそも、誰ひとり歩いていない。

「あ、そうや!」
ライド中にひとりでつっこみ、ひとりで笑う…と言えば、店の看板を見た時だ。
例えば、田舎の片隅にある潰れかけの喫茶店。
その看板に「喫茶 ユーラシア」などと書かれていた日にゃ、「えらいスケールのでかい名前を付けたもんやなぁ」と思い、そして密かに笑う。
「焼肉 牛太郎」なんかもいい。
「もうちょい捻ろうや」と思い、そして密かに笑う。
また、田舎の片隅にある潰れかけのスナックで、「スナック 白夜」なんてのもポイントが高い(俺の中で)。
「ホワイトナイツ」、または「ホワイトナイト」の場合、更にポイントがアップする。
しかし…だ。
鳴門の市街地から離れたせいか、つっこませてくれる看板が、いや、そもそも店が少ない。

たまに、会社の看板は見掛けるのだが、つっこませてくれない。
例えば、「(株)鳴門不動産」の看板があったとしても、「鳴門にある不動産屋やなぁ」ぐらいにしか思わない。
「(株)山谷運送」も、「山谷さんが営んではる運送屋なんやなぁ」ぐらいの感想。
面白くない。

信号が極めて少ないおかげだろう。
俺は引田へと順調に進んでいる。
が、相変わらず、忙しい脚と暇な頭。
「退屈やなぁ…」
「暇やなぁ…」
溜息を洩らす。
と、少し先にトンネル。
三津トンネルだ。
「向こう側に、つっこませてくれるもん、何かあったらええよなぁ」
そんなことを願いながら、フロントライトに右手を伸ばし、そして電源を入れた。

つづく

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