(780)ロードバイクに乗って津田引田線を走り、鳴門で夜を過ごす~汗の豚玉事件~

坂道を登ると、海岸が見えた。
「はぁ…」
気温は、25度ぐらいか。
さほど暑さを感じない…にも関わらず、大量の汗が頬をつたう。

路面に足を着き、タオルで顔を拭く…が、拭いても拭いても流れ出る。
「止まらん…。汗が止まらん…」
「あの、豚玉を食った時に匹敵する量の汗や…」

先日、某お好み焼き屋に立ち寄った時のこと。
豚玉を注文し、瓶ビールをちびちび飲みながら、俺は鉄板の上を見詰めた。
ぼんやり。
ぼんやり。
しばらくして豚玉は焼き上がり、「マヨネーズはかけますか?」と女性店員。

「マヨネーズはかけますか?」
昨日今日始まったことではないが、俺はこの手の確認がすごく嫌いだ。
「いちいち聞くなよ!」と思う。
ただ、女性店員は仕事として聞いているだけで、俺を不快にする気が無いのも分かっている。
頭では理解している。
でも、イライラ…。

「青海苔はかけますか?」
イライラ…。
「鰹節はかけますか?」
イライラ…。

なるべく感情を出さないように、俺は答える。
「はい!」
「はい!」
「はい!」

怒りを抑え、「はい!」を連呼していると、女性店員から最後の一言。
「辛口ソースは塗りますか?」
「はい!!」

あっ…。
しまった…。
心が凍りつく。
本当に、しくじった…。
俺は辛いものが苦手…なのに、勢い余って「はい!!」と答えてしまった。

どうする?
「やっぱり、辛口ソースは結構です」
女性店員にそう伝えれば済む話…と頭では分かっている。
そう、分かっている。
ただ、「かかってこいや!」みたいな顔で「はい!!」と答えた手前、口が裂けても言えない。
「やっぱり、辛口ソースは結構です」などと。

「お待たせしました」
豚玉(辛口ソース)。
「あら?」
赤々としたビジュアル…を想像していたが、何てことはない。
見た目は、普通の豚玉。
ただの豚玉。
少し安心。

コテを使って8分割。
そのひとつを取り皿に乗せる。
さぁ、食おか…の前に、深く深呼吸。
OK。
態勢は整った。
豚玉(辛口ソース)を口に含む。

不味くはない。
それが第一印象。
ただ、美味くもない。
まぁ、食えないレベルではない。
また少し安心し、豚玉(辛口ソース)を口に放り込む。

と、身体に異変。
急に、大量の汗が額より吹き出し、頬をつたい、顎からこぼれ落ちた。
ぽとり…。
ぽとり…。
「あぁ…。今、俺は、夏の高校球児よりも美しく輝いている」と思う。
また、「自分に酔ってる場合とちゃうやろ」とも思う。
そうだ。
目の前の豚玉(辛口ソース)を、平らげなくては。

食えば食うほど、ほとばしる汗。
「周りから『この人、変な病気にかかってんのとちゃうか?』思われてるかも…」
気になる。
気になる。
周囲の視線。
気になって仕方が無い。

お手拭きで汗を拭き、顔を隠しつつ、豚玉(辛口ソース)を頬張り続ける。
「たかが飯食うぐらいで、何でこんな目に合わなあかんねん…」と思いながら。

「今年一番汗を掻いたんは、あの豚玉の時やな」
「いやぁ、今も大概やで。大概、汗、掻いてるで」
「じゃあ、ランキングを整理せなあかんな」
クランクを回し、そして考える。
まぁ、どうでもええ話だ。

つづく

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