(825)令和4年が始まり、武庫川サイクリングロードを走り。

元日の朝。

薄汚い部屋の隅で、布団にくるまる俺。
「あぁ…」。
目を覚ます。
「あぁ、年が明けたかぁ」
押し入れの前に放置された、壊れかけの扇風機をぼんやりと眺め、また目を閉じる。

「よう寝たわぁ。そろそろ起きよかぁ」
目を開く。
天井を見詰め、脳内で今日のスケジュールを確認。
「初詣に行って、晩は飲みに行く約束があったなぁ」
「そうそう、その前に…初詣の前に…走らなあかんな」

武庫川サイクリングロード。
ロードバイクに乗り始めて10年近く経つ俺は、毎年、元日にこの道を走っている(多分)。
それは儀式のようなもの。
クランクを回しながら、「今年は暇さえあれば徹底的に走ります」という誓いを立てるのだ。

初めて買ったロードは、BRIDGESTONE ANCHORのRF5。
コンフォートモデルのこの車体に、俺は快適さとスピードを与えられ、爪先や指先が冷えようが、汗まみれになろうが、暇さえあればしゃかりきになって走りまくった。
が、年々、快適さもスピードも当たり前になり、新鮮味が薄れ、走る距離は短くなり、スピードにもこだわらなくなり、趣味として何となく脚を回しているだけ。
まぁ、通勤でもロードに乗るため、日数として1年の半分以上はサドルに跨がっているが、「どうも違うよな」。
そう感じる。

「要するに…や。『熱さ』が足らんのちゃうか?」
ハンドルを握り、前を見詰めながら自分に問う。
例えば、平均時速。
以前はこだわっていた。
が、今は「こんなもんでええやろ」。
熱さがない。
また、機材に関してもそうだ。
以前は、雑誌やネットのインプレ記事を血眼になって読みまくった。
が、今は「どうでもええわ。キリがない」。

記録と機材は、ロードを楽しむ中で重要な要素と思う。
しかし、「それがすべてじゃないよ」とも思う。
なら、「何が重要?」。
自分にそう問うと、「『熱さ』かな」。
抽象的すぎて、自分でもよく分からない。

頭の中を整理する。
俺は、ロードに乗り始めて「熱さ」を感じた。
野犬に追い掛けられようが、飛び出してきた子犬を避けようとして怪我しようが、走れば走るほど「熱さ」を感じた。
そう、「熱さ」は、走りまくった先に感じられるもの。
しかし…だ。
いつの間にか、「暇さえあれば走るけど、走った後に飲みに行くよ」や、「暇やから飲みに行こかぁ」となり、「熱さ」を感じる世界にたどり着けなくなった。

よくない。
極めてよくない。
分かっている。
「変わらなければならない」という意識は、何年も前から持っている。
だからこそ…だ。
元日に、「今年は暇さえあれば徹底的に走ります」と誓いを立て、俺は武庫川サイクリングロードを駆け抜けた。

令和4年となり、1月も終わろうとしている。
暇さえあれば、俺は武庫川サイクリングロードを走っているが、まぁ、酒もそれなりに飲んでいる。

にほんブログ村 自転車ブログ ロードバイクへ
にほんブログ村

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする