(855)Bianchi ARIAに乗って姫路へ~たくさんの美女たち~

「ほんまに、この道で合ってんのか?」
スタートして10分も経たずに道が途切れ、少し不安を覚えた。

姫路明石自転車道線については、事前にネットで調べている。
明石から進むと、海側の道が続く…と。
ただ、一本道ではない。
何ヵ所か途切れる箇所があり、何度か迂回する必要がある。
その点についても、何となくは把握している。
が、最初の迂回で思った。
「ブルーラインが引かれてへんのは、ちょっと不親切やで…」

適当に走り、また海側の道へ。
左手には、車が何台か並んでいる。
最初、「ただの駐車場かぁ」と思ったが、違う。
姫路明石自転車道線をネットで調べた際、記事に貼り付けられた画像と同じ景色だ(と思う)。
「あっ」
思い出した。
この辺りには、漁業施設がある。
船揚時は通行できないらしい。
ということは…だ。
先ほど迂回したのは、たまたま船揚時だったのか?
まぁ、いい。
どっちでもいい。
とりあえず、俺は先に進んだ。

と、前からジョギング中の姉ちゃん(おばちゃん?)。
すれ違う際に、「うっわぁ。この人、綺麗な人やなぁ」。
またしばらくクランクを回すと、「あの散歩中のおばちゃんも綺麗な人やわぁ」。

どうもおかしい。
何かがおかしい。
今年に入ってから、ずっと違和感を覚えていた。
コンビニのおばちゃん、焼鳥屋の姉ちゃん、電車で向かいに座った姉ちゃん、弁当屋のおばちゃん、取引先の新入社員、その他…。
俺の生活圏内に綺麗な人、可愛い人が急に増えた。
まぁ、みんな、彼女でも何でもなく、知らない人なんですけどね。

とにかく…だ。
今年に入ってからおかしい。
「まさか、俺を中心に世の中の構造が改変されたのか…?」
そんなことも考えてみたが、普通にあり得ない。
アホでも分かる。

なら、世の中は何も変わっていない。
世の中は何も変わっていないが、俺自身が変わったのか?
例えば…だ。

———-
もともと、俺の生活圏内には多くの美女がいた。
しかし、俺は他人に無関心なため、彼女たちの存在に気付かず、これまで生きてきた。
が、今年に入り、急に変わった。
俺自身が変わった。
他人に関心を持つようになり、美女の存在に気付くことができた。


———-

なるほど。
そう考えるのが自然か。
いや、自然だが、どうも納得がいかない。
今年に入り、他人に関心を持つようになった…という自覚が無い。
微塵も無い。

「あっ、もしかして、あれか…」
ふと思い出した。
若い男性社員には、やたらと当たりが強いのに、若い女性社員には激甘なおっさん上司のことを。
他にも、酒の席で、店員も含む若い女には異様に優しく、無駄に絡もうとするおっさんたち。
若い頃の俺は、「男って、歳食ったら『若い女=全員魅力的』に見えるもんなんかぁ」と思いながら、彼らを観察していたが、ついにそんな歳になったのか。
俺も。

いや、違う。
そうではない。
何故なら、今年に入ってからの俺は、若かろうが歳食ってようが、年齢など関係無く「この人、綺麗!可愛い!」だ。
ということは、何?
単に飢えているだけ?

「はっ!」
気付きたくない現実に気付いてしまった。
自己嫌悪に陥りそうだ。
クランクを回す脚を止め、考える。

まず、美しいものを美しいと感じることは、人間として正常だ。
花でもいい。
音楽でも景色でもいい。
美しいものを美しいと感じるのは、正常だ。
同じように美しい女性を見て美しいと感じるのも正常だ。
ただ、節操が無いのは異常というか、人間として醜い。
そう、人間として醜い。
なら、節度を守ればいい。

「うん、OK」
「節度を守ります」
自分にそう誓い、前を向いてクランクを回し始める。
「あ!あそこで犬の散歩してる姉ちゃん、可愛い!」

つづく

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