(868)Bianchi ARIAに乗って姫路へ~嫌なことはするな~

クランクを回す脚を止め、海岸を眺める。
ただただ、ぼんやりと。
俺には、景色を目で楽しみ、そして俳句を書く…といった趣味など無いが、何となくだ。
何となく休憩。

家を出て、ゴールに設定した姫路まで80㎞ほど。
大した距離ではない。
また、ルート上において、標高が高く登るのに苦労する山など無い。
当然、体は疲れていない。
が、どうも休憩を連発してしまう。
何だろう?
「嫌なことはするな」。
気のせいか、もうひとりの自分にそう訴え掛けられているような。

短い休憩を終え、クランクを回しながら考える。
「ロードバイクに乗ることは、俺にとって嫌なことなんやろか?」
いや、そんなわけがない。
ロードに乗るのが嫌なら、そもそも「姫路まで走って1泊したいなぁ」と思うはずかない。
うん、旅行の計画そのものが無い。
また、ネットで2食付きのビジネスホテルを見付けて興奮し、走ったことのない姫路明石自転車道線に期待を抱いた…のは、素直な感情だ。
紛れもなく。
しかし、現実として、俺は休憩を繰り返し、走りに集中する気分ではない。
何だろう?

「嫌なことはするな」
その言葉を初めて聞いたのは、ある医大病院の精神科の先生から。
過去にも何度か記事に書いたが、俺は仕事による激務が原因で、不眠症→鬱となり、悩み苦しむ時期を経験している。
毎日毎日、終電で何とか家に帰り、翌日のスケジュール、仕事の段取りを考えているうちに、雀が鳴いてベランダから朝日が差し込む。
「ヤバい…。今日も寝られへんかった…」とショックを受けつつも、出社しなければならない。
出社したらしたで、どうもおかしい。
それまで当たり前にできたことができず、自分の異変に気付いた(Excelってどう使うの?今まで何度も使ったはずやけど、初めて操作するような…のレベル)。

「独身男性は鬱になる」。
そんな伝統というか、ジンクスがある会社に勤めていたため、「俺もかぁ」と思ったが、ちょっと待てよ。
他人事ではない。
先輩に相談すると、「明日は昼から出勤してもええから、とりあえず病院に行ってこい」。
で、病院に向かったところ、「あなたは完璧に鬱です」。

自分の人生が狂うのは嫌すぎるため、すぐに会社を辞めた。
ただ、病院には通い続けなければならない。
そんな中、先生に言われたのが、「嫌なことはするな」。
正直、「そんな考え方があるんやなぁ」と刺激を受けたね。

以後、「空気が読めないタイプ」と評価されても、嫌いな人間にはなるべく関わらず、仕事でも遊びでも、気が進まないイベントごとには顔を出さない。
それを徹底した。

まぁ、いい。
それはいい。
それはそうと、今回の姫路へ旅。
どうも、途中から走る気にはなれないようで、「嫌なことはするな」ともうひとりの自分に言われる。

「俺はロードに乗るんが嫌なんかな?」
自分に問い掛けてみる。
「いや、そうじゃないねん」
「じゃあ、何やねん?」
「多分やけどなぁ、疲れてるねん」
「おいおい、疲れるほど走ってへんで」
「今日だけの話とちゃうよ。正月休みも返上して、3ヶ月ほどまともに休んでなかったやろ?」
「まぁ」
「だからな、本心では動きたくないねん。ロードに乗る…も含めて、動くことが嫌なことやねん」

バシッ。
上下する膝を叩き、「なるほど!」。
俺は深層心理において、「動くのが嫌」なのか。
そう、今の俺にとって、家でゴロゴロすることこそ至福。
それが…だ。
「今まで忙しかった分、無理にでも旅しよう!」と考えたのが裏目に出た。
バシッ。
「なるほど!」

脚を止め、考える。
「その辺にゴザを敷いて横になろかぁ」と。
まぁ、ゴザなど携帯していないし、予約したホテルへ向かわなければならない。
面倒くさい。

つづく

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