(873)Bianchi ARIAに乗って姫路へ~加古川で気付いた現実~

「オーレ オレ マツケンサンバ♪」
「オーレ オレ マツケンサンバー♪」
苦痛が伴うガタガタの道を少しでも楽しく走りたい。
そう思い、俺は小声で「マツケンサンバⅡ」を歌いながらクランクを回したが、やはり面白くない。
不快でしかない。
下からの突き上げが鬱陶しい。
体力も気力も吸い取られている感覚。

俺は思う。
「このクソみたいな道、早く終わってくれへんかな」と。
姫路明石自転車道線。
新幹線の高架下。
ガタガタの歩道。
最悪だ。

クランクを回しながら前に目をやると、「あっ!」。
行き止まり。
どうやら、前方に川が流れているようで、迂回する必要がある。
「面倒くさぁ…」
文句を言いながら土手を上がると、そこには大きな川。

「加古川かぁ」
自然豊かで綺麗な川。
ゆっくり眺めたい。
「とりあえず、休憩しよか」

俺が育った大阪市内の家の前にも川が流れていた。
汚れきった緑色の川。
目を凝らすと、いくつかの黒い影。
ボラの群れだ。
毎日、そんな薄汚い景色を当たり前のように見ていたからか、俺は大抵の川を美しく感じる。

加古川をぼんやりと眺める。
「夏にでもまた来て、違った景色を見たいよなぁ」。
そう思う。
「いや、ちょっと待てよ」
うん、ちょっと待とう。
考えてみると、俺は真夏に加古川を訪れた。
岡山を目指して走った時だ。
それ以外にも何度か来ているが、「加古川の景色を楽しんだ」というよりも、単に「加古川を渡っただけ。通過しただけ」。

まぁ、いい。
「またのんびりと景色を堪能しに来よかぁ」
サドルに跨がり、ふとサイコンに目をやると、「のんびりしてる場合ちゃうで…」。
愕然とした。
時刻表示の数字、「17:10」。
出発した時間とここまで走った距離から時速を割り出すと、おそらく「10㎞/h」。
原因は、寄り道、そして無駄な休憩ばかりしていたから…だ。

「これはヤバいよなぁ…」
「かなりヤバいよなぁ…」
何も自分の怠け根性に対し悲観しているわけではない。
この先、姫路まで…だ。
暗い道を走ることに不安を感じるのだ。
大いに。

俺が住む阪神間だと、暗かろうが明るかろうが関係無い。
馴染みの道には信用があり、安心する。
ただ、加古川~姫路間は勝手が違う。
ただでさえ不慣れなのに、暗い時間帯に走るのは嫌だ。
「急ぐ?」
「ちょっと、本気で走ろか?」
「うん、日が沈むまでにチェックインしよ」
「姫路まで20㎞ぐらいやろ。すぐに着くわ」
「OK」
俺は自分にスイッチを入れた。

つづく

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