(889)Bianchi ARIAに乗って姫路へ~山陽姫路駅について解説する青年~

山陽百貨店の前で佇む。
「参ったなぁ」
「駅には、どうやって行けばええんやったっけ?」
「久し振りすぎて忘れてもうたわ」
山陽姫路駅は、百貨店の中にある。
それは分かっている。
ただ、百貨店のどの入口を進めばいいか失念した。
「とりあえず、百貨店の周りを歩いたら、どっかにあるやろ」
「よっこらしょ」
輪行バッグを担ぐ俺。

だらだらと歩き、「ここが正解か?」。
百貨店脇のごちゃごちゃした道に、「山陽姫路駅のりば」の案内標識が見えた。
「こんなに分かりにくいとこやったかなぁ?」
「ほんま、久し振りすぎて忘れてもうたわ」

2階のホームへ上がる前、発車標に目を向ける。
「11:23 直通特急 阪神 大阪梅田」
まだ時間には余裕がある。
急いで切符を買わなくてもよさそうだ。
ただ、特にすることも無いので、「さっさと電車に乗ろかぁ」。

輪行バッグを担いだままエスカレーターに乗る…と、他の人に迷惑を掛けるため、階段を上る。
ロードバイクと共に旅をすると、毎度毎度のことだが、これが地味に鬱陶しい。
「頼むから、改札も券売機もホームも1階に作って…」

2階に上がり、券売機へ向かう。
と、視界の端に、独り言を言う青年。
「あぁ、目ぇ合わしたらあかんわ」
切符を買い、また青年の近くを通る際、「うん?」。
彼の話し声(ひとり)が聞こえた。
「この『山陽姫路駅』、かつての名称は『電鉄姫路駅』でして~~」
「JR姫路駅は、このすぐ近くにありまして~~」
ひとりで駅の解説をするとは、なかなかハイレベルだ。
が、ちょっと待てよ。
視線を向ける。
満面の笑みで語る彼を見て、「あぁ、そういうことかぁ」。

青年は、鉄道YouTuberだった。
「視聴者の皆様、プレゼント企画の方も忘れてはいませんよ!」
「楽しみにして下さいね!」

改札をくぐり、ホームを歩きながら余韻に浸る俺。
「ほんま、新しい発見やわ」
「俺、YouTubeって、廃墟と心霊とプロレスばっかり観てるけど、鉄道も需要があるんやなぁ」
「まぁ、世の中にはいろんな趣味の人がいてるもんなぁ」
「鉄道YouTuberかぁ。知らない世界に、ほんの少し触れられた気がするわぁ」

最後尾の車両に乗り込み、運転台の後ろに輪行バッグを置く。
「はぁ…、こっから1時間以上も立ちっぱなしかぁ」
気が滅入る。
と、近くの席にどこかで見た顔。
「おっ!鉄道YouTuberやんけ!」
「おいおい、さっき撮影してる時はニッコニコやったけど、今、めちゃめちゃ素の顔しとんなぁ」
些細なことだが、笑いが込み上げてきた。

つづく

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