(29)暑さと苦しみの思い出がいっぱい。ロードバイクで岡山旅行。-3

地獄がやっと終わった。
高取峠の頂上まで来た。
そして、下り終えると、徐々に街並みが見えてくる。
久しぶりに文明に触れた気持ちになった。

播州赤穂駅の前を通り過ぎた時、「せっかくやから赤穂城に寄ろうか」と思ったが、今は岡山に辿り着くことを優先すべきだ。
赤穂城は明日、帰りに余裕があれば寄ることにして、ひたすら250号線を突き進む。

しばらく走ると、さびれた駅に出た。
天和駅。
どうも無人駅のようだ。
まだ先は長いので、ここで休憩しよう。

クソ暑い中、駅前のバス停で、ひとり、ぼ~っとした。
特に意味もなく、スッカスカのバス時刻表を見ながら。
駅に併設されたトイレを利用して、用を足してから出発しようと思い、トイレに入ったが、蜘蛛の巣が張ってある。
野性味あふれるこのトイレで、用を足す度胸が俺には無い。
即出発する。

徐々に、暑さが俺を苦し始めた。
自販機やコンビニを見る度に、水を買う。
その場で飲む水とボトルに入れる水、計2本。
水分補給を心がけて、苦しみを誤魔化しながら進んだが、ある自販機でお釣りを取る時、へたり込んだ。
「地べたに寝てる変な人と思われてもいいから、日陰を見つけて、そこで横になろう」と思い、辺りを見回したが、日陰がない。
俺は、絶望に打ちひしがれる。

仕方がないので、前を向いて、岡山目指して突っ走る。
「早くホテルに行こう。着いたら、横になってゆっくりできる」。
それを心の支えにした矢先、またしても登りが立ちはだかった。
勘弁してくれ。
セミの鳴き声に囲まれて、山を登る。
車も通らない、人も歩いていない。
「この世界にはセミしかいないのか?」と錯覚しそうになる。

そして、やっと下りだ。
海が見えてきた。
俺は泳ぐのが苦手で、海も好きではないが、絶望的な暑さの中をここまで走ってきたからか、海を見て気持ちが清らかになった。
「カキオコ」と書かれたのぼりが何本かあり、その横を通り過ぎる。
牡蠣の入ったお好み焼き。
ここ、日生の名物だ。
大好きな牡蠣にお好み焼き、うまいに決まっている。
食べたい。
ただ、今食べると、間違いなく吐く。
俺のコンディションが悪すぎるのだ。
再度、海に目をやると、タンクトップにハーフパンツの兄ちゃん、水着姿の姉ちゃん数人が、海岸を歩いている。
その先に、太陽が照り付けギラギラ光る海。
ゆっくりこの景色を楽しみたいが、スリップしないよう路面をチェックしながら走らないといけない。
こうして、暑さに耐え、苦しみながら走ってきた俺は、気づけば岡山県に入っていた。

※この記事は、2019年1月30日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする