(35)暑さと苦しみの思い出がいっぱい。ロードバイクで岡山旅行。-9

看板照明が消えた閉店後の焼鳥屋に着いた。
中に入ると、人相は悪いが話してみると愛嬌のある男子大学生のバイトと、店主のNさんがいた。

「岡山まで自転車で行ってきましてね、その帰りなんですわ」とバイトに話すと、「そうですか」と、ふてくされた顔で短い言葉を返された。
しばらくして帰り支度を終えた彼は、「お疲れ様です」と言い、店を出た。

Nさんには、遅くなった理由を説明した。
さすがにこの時間に来るのは非常識であり、お店に迷惑だと自覚していたので、少々言い訳っぽく話したと思う。
「大丈夫ですよ。こちらは全然都合が悪くないです。最近、深夜までテレビでゴルフを観ているので、遅い時間でも平気です」。
そう言ってもらえて、俺は救われた気持ちになる。

ハイボールを飲みながら、昨日、今日のことを話した。
一息つけて、ほっとした気分で素直な心境を言葉にしたため、暑かった、辛かった、道に迷ったと、負の要素満載の土産話だ。
聞いてて楽しい話ではなかったと思う。

軽く飲んだ後、ロードバイクを押し、歩いて家に帰る。
徒歩の場合、家まで30分はかかるが、太ももが痛すぎて、ロードに乗るより歩いた方がダメージが少なくすむ。
また、酒を飲んだ後に乗るのは危険でもある。
俺は、足をかばいながら歩いた。

歩きながら、今回の旅についていろいろ考える。
総括すると、「ひどい目にあった」。
この一言に尽きる。
そうなったのは、俺に問題がある。
反省点が多すぎる。
特に、夏の暑さをなめていた。
1日目の夜、「明日もこの暑さの中を走って苦しむのか…」と思うと、ロードに乗るのが本気で怖くなった。
せっかくの旅なのに、もうこんな思いはしたくない。
これを課題として、これからは夏の旅を楽しみたいと思う。
ゆっくりゆっくり歩き、やっと家に着いた。

たった1泊2日の旅なのに、とても懐かしく感じる。
部屋に入り、荷物を置いて服を脱ぎ、期待を込めて体重計に乗った。
63.5㎏。
出発前より太っていたことに、昨日、今日で一番のショックをうけた。
ハートが完全に砕け散った。
ひっきりなしに汗をかきつづけたが、その分、水も飲みまくったので仕方がないが、この結末はあまりにひどすぎる。
傷つきながら、俺はどろどろに溶けるように寝た。

不思議なことに、次の日もその次の日も、また、今も時々岡山を思い出す。
また同じコースを走って岡山に行きたいと思う。
さすがに、地獄の暑さは回避したいので、少し涼しい時期にでも。

あれだけ苦しんだのに、もう一度行きたいのだ。
素直な気持ちとして。

※この記事は、2019年2月4日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする