(266)武庫川サイクリングロードを走る。~おまけ~

一度走ったら、「もう、ここでは走りたくない!」。
そんな印象を強烈に残してくれる、武庫川サイクリングロードの南端。
道がガッタガタで走りにくい上、ストレスを感じながらも我慢し、やっと辿り着いた場所で見える景色は「まぁ、こんなもんか」。
「もう二度と来ることはないな」と思い、いつもスルーしていたが、気が変わった。

切っ掛けは、先日、中途半端に武庫川サイクリングロードを走った際、工事中の風景を見て思った。
「武庫川サイクリングロードって、年がら年中、どっかで工事してるよな」。
「あ、それなら、南の方も走りやすい舗装路になってるかも」。
宝塚まで行き、折り返して南に向かって走っていると、「久々に南端まで行こか。走りやすくなってるかも知れんしなぁ」と、俺なりに検討した。
が、既に辺りは暗い。
「やめとこ」となった。

日を改め、明るい時間帯に走ってみる。
南端までは、数年ぶりだ。
旧国道から武庫川サイクリングロードに下り、南へ向かう。
天気はいい。
風向きも悪くない。
ゆっくりクランクを回し、景色に目をやりながら進む。

いつも、南側のゴール地点、折り返し地点に設定しているポイントに着いた。
ここまではOK。
快適に走れた。
が、ここからだ。
俺の知らん間に、舗装されていることを願いつつ、「よっこいしょ」とクランクを踏む。

10mほどは快適に進んだが、しばらくするとボロボロのクソみたいな道が見えてきた。
「あぁ、前もこんなんやったな。ここは工事の対象外なんやぁ。淡い期待やったわ…」。
「いや、ちょっと待て。むしろ、前よりも酷くなってへんか?」。
ネガティブな気持ちが入り交じる中、俺は足を回したが、途中で放棄。
「こんなもん、ロードバイクで走れる環境じゃない」と判断した。
小さい石もあるが、キャラメルコーンぐらいの大きさの石もある。
踏んでスリップしてこけるのが怖い。
また、買って間もないチューブラータイヤに、こんなくだらない所で傷を付けるのも嫌だ(まもとな道を走って消耗するのはいいが)。
「ビンディングシューズにも無駄なダメージを与えないように」と祈りながら、芝と草むらと石の道を、ロードを押しながら歩く。

「なんか飛んだ!」。
「でかいのが飛んだ!」。
俺の予想では、トノサマバッタかクルマバッタだ。
町中で育った俺にとって、標本や図鑑の写真ではなく、生きているこの種のバッタは、とんでもなく珍しく感じる。
グッとくる。
「チューブラータイヤもビンディングシューズも、どうでもええわ」と、バッタを追いかけたが、保護色なので分かりにくいし、目星をつけて近付いても、すぐにどこかに飛んで行ってしまう。
「うぉ、こっち向かって飛んできたで!」。
「ブルルッ」という羽の音が、俺の耳に届き、心の底から感激。
今度来ることがあれば、網と籠を持ってこよう。

正確では無いが、ボッコボコの道とダートを1㎞ぐらい歩いたと思う。
そして、コンクリート。
釣り場らしくなってきた。
遠くに、釣りをしている人が2人見える。
ビンディングシューズのカバーを外し、俺はサドルにまたがった。

「まぁ、こんなもんか」。
武庫川サイクリングロードの南の端まで突っ切った場所で、クランクを止め、景色を眺める。
10秒ぐらいで、「さぁ、帰ろう」と思い、左足をビンディングペダルにはめようとした時、足元に小さな虫が飛んでるのが見えた。
「何の虫やろ?」。
虫は低い位置を飛んでいる。
輪郭は見えるが、何の虫かわからない。
何の虫かわからないが、愛らしい。
見守っていると、コンクリートの上にちょこんと止まった。
小さな赤いテントウムシだった。

「やっぱり、苦労してきたわりには、しょぼい道やったな」。
「そもそも、ここら辺は、武庫川サイクリングロードから除外されてるんちゃう?」。
「釣り人と散歩する人用の道なんやわ。最初から」。
そんなことを考えながら、来た道を帰る。
が、無駄なストレスを省くため、脇にある階段を上がって公道に出た。
「これで、やっとまともに走れるわぁ」。
クランクを回しながらサイコンを確認すると、10㎞も走っていない。
「もうちょい走ろか」。
臨港線の橋を渡り、俺は対岸に向かった。

工場、工場、工場、ゴルフの打ちっぱなし、工場…。
景色がいいとは感じないが、信号があまり無いため、走りやすい。
俺はこの道が好きだ。

何台かのトラックに抜かされながら、脚を回し続ける。
車道の隅を歩く、作業服を着た兄ちゃんを追い越す。
「みんな働いてるんやなぁ」と思う。
それに引き換え、平日の昼間にサイクリングしたり、バッタを追いかけ回している俺。
痛々しい奴だ。
本当に。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする