(73)抱きしめて眠りたい。初めて買ったホイール、FFWDのF4R。-1

クロスバイクを買って、自転車が趣味になった俺は、暇さえあれば、近所のサイクリングロードを走っていた。
ここで、世間話をするほどの仲になった人はいないが、いつも、何人かの自転車乗りとすれ違う(または、抜かされる)。
俺は、彼らの自転車、特にロードバイクに興味を持ち、その後ろを走りながら、よく観察をしていた。
「格好いいなぁ」、「俺も乗りたいなぁ」と思いながら。

川沿いのサイクリングロードをトンボが飛び回り、走っていると頭にぶつかる。
確か、そんな夏の終わり頃だったと思う。
クロスに乗って、いつもと同じようにクランクを回していたら、「ガリガリ」「ゴリゴリ」と、後方から聞き慣れない音がした。
普段、車道を走っている時、トラックに追い抜かれる際は注意が必要になるので、後方からの音には敏感になっている。
それは、サイクリングロードを走っている時も同様。
後ろから追い抜いてくるロード乗り達の「カラカラ」というラチェット音を聞き逃さないよう心掛けている。
遅い俺が、速い彼らに迷惑をかけることなく、道を譲るためだ。

「ガリガリ」。
「ゴリゴリ」。
音に反応し、その方向を見ると、最初は、普通のロード乗りかと思った。
ところが、追い抜かされる時に、ディスクホイールを履いたロードであることがわかる。
「音の原因はこれか」と理解できたが、それにしても格好いい。
初めて生で見るディスクホイール。
俺が履いているホイールは、中心にハブがあり、そこからリム(外側の枠)に向かってスポークがのびている。
基本的に、見た感じはママチャリの車輪と同じだ。
ディスクホイールは、スポークが無く、横から見ると、板1枚張り付けた形状。
スポークが無いおかげで、空気抵抗を減らすことができる。
また、横風の影響はモロに受けるが、前方向からの風を受け流す。
メリットもあれば、デメリットもはっきりあるため、レースに出るわけでもない俺が、普段使うにはむいていないホイールである。
ただ、めちゃめちゃ格好いい。

ディスクホイールを履かせたロードに乗る俺。
想像すると、ほくそ笑んでしまう。
この時点では、ディスクホイール以前に、ロードすら持っていないのに、想像だけは先行する。
「帰ってから、ネットで調べてみよう」と、にやついた顔で足を回した。
玄関を開け、壁にクロスバイクを立て掛け、散らかった部屋の中で唯一寝転がれるスペースで横になり、スマホで調べてみた。
「ディスクホイール ロードバイク」と。
その1分後、ある記事の「\400,000~」という文言で、現実に引き戻された。

※この記事は、2019年3月4日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする