(78)抱きしめて眠りたい。初めて買ったホイール、FFWDのF4R。-6

「FFWD」と書かれた赤と黒のホイールバッグを肩にかけ、俺は梅田から電車に乗った。
少しは世間の注目を浴びている(気がする)。
「あ、こいつは、カーボンディープリムのホイールを買ったんやな。格好いい!」と羨望の眼差しで俺を見た人が、1人はいたはず。
わかる人にはわかる。

最寄り駅から家までの間に飲み屋があり、少し寄って帰った。
そこのオーナーであるMさんは、若い頃、自転車にはまったおじいちゃんなので、自転車の話が通じる。
昔はチューブラーが当たり前だったそうで、俺のホイールを見て、「ほー」なんて言っていた。

家に着き、ホイールバッグからホイールを出し、まじまじと見た。
しぶすぎる。
リムの高さ、色。
そして、軽さもいい感じ。
全てがひとつになり、やばい満足感が俺を攻めてくる。
見て、手に触れて、幸せになる。
興味が無い人からしたら、ただの車輪、輪っかでしかないが、「抱き締めて寝たい」と俺は本気で思った。
我ながら、自分が変態の域に達した気もしないでもないが、とにかく、美しい物は美しいのだ。

翌朝、ホイールを取り付けてみた。
しぶい。
しぶすぎる。
恐ろしいまでのしぶさだ。
自然と、これに乗る自分を想像してしまう。
しぶい。
しぶすぎる。
早速、走りたいが、ひとつしなくてはいけないことがある。
それは、ブレーキシュー(ブレーキをかけた時に、ホイールを挟むゴム)の交換である。
俺のロードに付いているのは、アルミホイール用のブレーシューだが、新しく買ったのはカーボンホイール。
なので、カーボン用のブレーキシューが必要になるが、何も問題は無い。
それを見越して、俺はカーボン用のブレーキシューを買っておいたのだ。
遊びも仕事も段取りが大切である。

ところが、ホイールの付属品でブレーキシューが入っているではないか。
だぶってしまったが、「消耗品なので、そのうち、また使えばええか」と気持ちを切り替えた。
余裕をかまして始めたブレーキシューの交換は、かなり苦戦した。
どうもおかしい。
ブレーキシューがはまらない。
取り付けることができない。
よく見てみると、ブレーキシューと、それを収める舟と呼ばれる部分の形状が、まったく違うではないか。
ネットで調べたところ、そもそも規格が違うようで、俺としてはお手上げだ。
まいった。
本当は、この後、新しいホイールでサイクリングロードを走りたかったのだが、部品を買いに梅田に行くことになる。
俺は、俺自身に大きく失望し、電車に乗った。

※この記事は、2019年3月8日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

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