(103)Bianchiのカーボンロードに乗って、淡路から帰る。-3

Bianchiのカーボンロードを買い、淡路からの帰り道。
俺は、なにわ自転車道を走った。

川沿いに設けられたなにわ自転車道は、道幅が狭い。
さらに、生垣や花壇、雑草に囲まれた道は、視界が悪いというか、逃げ道が無いので、ちょっと辛い。

他のサイクリングロード同様、散歩をしている人がいる。
手前で徐行して、追い越してを繰り返し進むと、太極拳をしている人たちや、七輪で肉を焼いて食ってる学生を見かけた。
妙に庶民的で味がある。
このサイクリングロードの魅力かも知れない。

国道2号線が見えてきた。
サイクリングロードを逸れ、前に自転車や人がいないことを確認し、買ったばかりのカーボンロードを全力で漕ぐ。
チェレステのロードに乗ってとばしている自分を客観的な視点で見て(想像)、自分に酔った。
「やばい。自分、大好き」。

2号線を少し行くと、尼崎市に入る。
交通量が多く、車に注意しながらクランクを回し続けた。
警察署の前を通り過ぎ、にぎやかな街並みを見て、悩む。
「ホルモン買って帰ろうか」と。

三和商店街の中に、評判の良い肉屋がある。
「かごもと」さんというお店。
店頭でホルモン焼きを売っており、俺も何度か買って食べたが、ビールにあってうまいのだ。
思い出すと、食べたくてウズウズする。
また、念願のカーボンロードを買い、俺自身、テンションが高まっている。
家で、ひとりお祝いパーティーをしたい。
ホルモンをつまみながら、ビールを飲んで。
いいねぇ。
かなりいいねぇ。

「おい、ちょっと待て。お前は真っ直ぐに帰るべきだ」
もうひとりの俺がささやいた。
確かにそうかも知れない。
寄り道をせずに帰った方がいい。
うん、急いで帰ろう。
家に着くなり、まずサドルの高さを調整し、テールライトなど備品、装備を取り付けるのだ。
こういうことは、後回しにしてはいけない。
ホルモンをあきらめ、人間的にちょっと成長した気分になった俺は、西宮市に向けて走った。

武庫大橋に夕日が射す。
あと少し。
橋を渡ると、俺が住む西宮だ。
軽いギアに切り替え、俺は橋を駆け上がる。
と、「オー!オー!」
「オー!オー!」
誰かを呼ぶ声が聞こえた。
声のする方を見たところ、歩道の端から車道側に身を乗り出して、大きく手を振っている男性がいる。
遭難した筏の上で、助けを求めるようなジェスチャー。
クランクを回す俺は、徐々に彼に近づいた。
「!?」

全然知らん人だった。
俺に何の用なのか?
不安が過ぎる。

50過ぎの大柄なおっちゃん。
満面の笑顔で、俺に話しかけてきた。
「!?」

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