(105)Bianchiのカーボンロードに乗って、淡路から帰る。-5

武庫大橋で、知らんおっちゃんに声をかけられる。
「どこから来たん?」と質問され、答えに窮する俺。

おっちゃんの質問から数秒の間、俺はいろいろと悩んだが、もういい。
ストレートに言おう。
駆け引き無しだ。
変に取り繕って適当に答えるよりも、真実を伝え、俺なりの誠意を提示しよう。

「淡路から走ってきました」
「おおっ、淡路島からかぁ。えらい遠いとこから走ってきてんなぁ」
やっぱり、そうきたか…。
俺は、覚悟を決めた。
「えと、阪急の淡路です」
世界が、一瞬、停止した気がする。

沈黙の後、まさかの返しがきた。
「おお、阪急淡路か。高校の最寄り駅が淡路やったから、昔、毎日淡路で電車降りて登校したわぁ」
「淡路の高校と言えば、おそらくあそこかな?」と思ったが、そこから話を広げる自信が、俺には無い。
そもそも、俺に必要無い情報である。

「あ!」と俺は小さく叫んだ。
橋の手前の信号が、青になったのだ。
これぞ、天祐。
「すみません。ちょっと急いでまして」
俺は信号を指差し、「失礼します」と言って、その場を後にした。
セーフ。

振り返ると、ニコニコ顔のおっちゃんが俺に手を振ってくれている。
「この人は、多分、フレンドリーな人柄なんだ」としみじみ思う。
だが、いろいろと不幸な現実があり、何かすみませんでした。
今でも武庫大橋を渡る時、おっちゃんを思い出すことがある。

ロードで走るよりも、何かものすごく疲れた気もするが、やっと、うちのマンションに着いた。
買ったばかりのカーボンロードを駐輪場の壁に立てかけ、それを見ながらうっとりする。
「今まで、サイクリングしていて、Bianchiのロードに乗っている人を何人も見たけど、俺もBianchi乗りかぁ」
そう思うと、急にチェレステカラーが身近に感じる。
2~3分、満たされた気持ちに浸り、「そろそろ部屋に帰ろうか」と、ロードを肩に担いだ。
「え?」
今まで乗っていたアルミロードに比べると、数値以上に軽く感じた。

階段を駆け上がり、部屋に戻るなり、携帯ポンプやテールライトの取り付けにかかる。
ひとりお祝いパーティーは、後回しだ。
一通り終わらせてから、近所の中華屋にでも行って、餃子とビールで乾杯だ(ひとり)。

「とりあえず、やるべきことはした」と思ったが、いや、ひとつ残っている。
それは、ボトル。
Bianchiのロードを買うと、付属品としてBianchiのロゴが入ったボトルが付いてくる。
白いボトルにチェレステカラーで「Bianchi」。
個人的に、これがどうもしっくりこない。
「白じゃないねんなぁ」と思い、以前から使っている3本のボトルを、それぞれボトルケージに納めた。
「違う」
チェレステのフレームに合う色のボトルについて悩む。
う~ん。
結局、どうでもよくなり、寝た。

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