(860)負の連鎖~ロードバイクに乗れない3日目-1~

3日目その1

時間は分からない。
布団にくるまり眠っていると、「あら?」。
意識を取り戻した。
「あぁ…、これはヤバいわ…」
息を吐く度に、生暖かさ…ではなく、熱さを感じる。
「風邪引いた時の息やな」
「今日と明日、仕事休みやのに風邪とはなぁ…」
「あ~あ」
次に目覚めた時、奇跡的に治っていることを願い、また目を閉じる。

出社するわけでもないのに、いつも通りの時間に起きた。
飽くまでも感覚…だが、体はさほど熱くない。
ただ、気だるさがすごい。
「あぁ…」
やはり、せっかくの休日を風邪と向き合わなければならないのか。

昔からそうだった。
期末テストや高校受験、大学受験の直後に風邪を引いた。
社会人になってからも、担当しているプロジェクトが無事に終わった後、熱を出してぐったり。
おそらく、気を張り続けた期間が終わると、一気に体調を崩す。
「いつまでもこんな習慣?体質?のままなんかなぁ。俺は…」

何かしらの対抗策は無いか考える。
が、ちょっと待て。
俺は既に風邪を引いているのだ。
次に風邪を引くことより、まずは今。
今、どうすべきか考えよう。

布団にくるまりながら、考える…つもりでいたが、いつの間にか眠りに入り、気付けば昼過ぎ。
ぼんやりしていると、カーテンの向こうに、羽ばたくカラスのシルエットが見えた。

布団の中で、ふと「そういえば…」。
可能性は低いだろうが、「もしかして、俺、コロナ?」。
この数日間を思い返したところ、派手に遊んでいない。
とても地味な日々を過ごしてきたはず。
ただ、コロナ感染者の中には、自重しつつも不運なことに感染してしまった…という人も多いはず。
「俺もそのひとりか?」
自分がそうではないと言い切れる自信は無い。

「俺はコロナなのか?」
「単なる風邪なのか?」
布団の中で自問自答を繰り返しているうちに、また眠り入り、気付けば15時過ぎ。
もうね、この日の俺は何時間でも眠れる自信があったね。

まぁ、いい。
それはいい。
「俺はコロナではない」という大した根拠も無いが、「ただの風邪です」と勝手に判断し、風邪薬を飲もうと思う。
さて、薬を飲むには、その前に何か口に含みたい。
何か食べておきたい。
ただ、どうもおかしい。
食欲が無い。
微塵も無い。

「まぁ、すぐにスイッチ入るやろ」
食欲を湧かせようと、スマートフォンのアルバムを起動。
「ここはひとつ、『やきとりの名門 秋吉』の写真やな」

「秋吉」とは、焼鳥屋だが串カツもあり、小ぶりな串ものをささっと食べつつ酒を味わう店だ(全国各地にある…と思う)。
俺は、入店するとすぐに「あか」と「しろ」を注文する。
「あか」は豚レバー。
牛や鳥のレバーも美味いが、豚レバーも味わい深い。
「しろ」は豚ホルモン。
ほどよいこってりさが素晴らしい。
他にも、「純けい」に「ささみ」に「若どり」に…いろいろと舌を楽しませてくれる。

が、おかしい。
そんな「秋吉」の写真を見ても、何も思わない。
あと、「世界の山ちゃん」。
手羽先の写真も見たが、食欲が湧かない。
まったく湧かない。
「俺、重症やな…」と思う。

まぁ、いい。
落ち着こう。
食欲は無くてもいい(いい!)。
何も、ヘビーなものは食わなくていいのだ。
ちょっとしたものを口にして、風邪薬を飲もう。
布団から手の届く範囲に、柿の種とキャラメルコーンがある。
それを食って、薬を飲めばいい(いい!)。

「んじゃ、薬箱を取りに行こかぁ」
この日、初めて布団から出ようとした時、「ギャーーー!!」。

つづく

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