(287)伊勢志摩を走る。~2日目 赤いポケチキおじさん~

朝っぱらからロードバイクに乗るのが久し振りなので、時間の感覚を無くしながらも、志摩パールブリッジから第3エイドステーションを目指す。

伊勢志摩サイクリングフェスティバル。
考えてみると、今回参加したこのイベントのコースは、俺の経験上、最もアップダウンの多いコースだ。
たった57㎞だが、密度が濃い。
アップダウンが多すぎる。
とか言いながらも、この日は大丈夫。
余裕をかますこともできた。
前にも記したが、スタート時からずっとインナーで走っていた俺、ナイス判断。
ちなみに、ゴールした後、「余裕で2周目いけるわ」と思った。

登りのたびに、前を走るBさんが死にかける。
無駄に、無意味にシフトチェンジを繰り返すと、死期が近いサインだ。
「大丈夫ですか?」と声を掛け、俺は前に出るが、だからと言ってBさんの速度が上がるわけでもない。
こけない程度にゆっくりクランクを回し、Bさんを待ちながら登ったが、なかなか追い付いてくれない。
ちょうど信号があったので、歩道に入り停止。
Bさんを待つ。
が、来ない。
「ほんまに死んだんちゃうか!?」と一瞬心配になったが、5分ほどしてボロボロのBさんが登ってきた。
生きていた。

その後もふたりで登り、下り、嫌がらせとし思えない、わずか一瞬しか青にならない信号を渡り、国府白浜に出た。
平坦な道。
海岸沿いを走りながら、間近にある海を見る。
休憩して景色を眺めている自転車乗りが何人もいたので、「我々も休憩しましょう」とBさんに提案した。
まぁ、あと少し走れば第3エイドなので、「ここで休憩せんでも」という気持ちもあったが、少しでも早くBさんに休んでもらいたかった。
57㎞の道のりを、マウンテンバイクでアップダウンを繰り返しながら走るBさんの負担を考えると、早目に楽してもらいたい。

海を眺めがら、「残り10㎞ちょいぐらいかぁ。ゴールに着くんは、12時過ぎぐらいになるかな」と考えていると、赤い法被を着たロード乗りが俺の前を通り過ぎた。
「このおっちゃん、ほんまに目立つよなぁ」。
背中に「ポケチキ」と書かれた赤い法被を着て、クランクを回すおっちゃん。
ここまで走ってくる間、何度かおっちゃんの後ろを走ったが、コスプレで参加している人よりも独特のオーラを放っているように感じた。
「それにしても何者なんやろか?」。
「『ポケチキ』って、ファミマのカラアゲくんみたいなやつやなぁ」。
「てことは、おっちゃん、この辺りのファミマのオーナーさんなんかな?商品の宣伝をしながら走ってはるんかな?」。
気になってきた。

ちょっとした休憩を終え、少し走ると第3エイド。
Aさんと合流できたので、赤い法被のおっちゃんについて聞いてみた。
「走ってる時、赤い法被着たおっちゃん、見ませんでした」。
「あぁ、いましたね。目立ってましたね」。
「あの人、何であの格好で走ってるんですかね?知ってます?」。
「知りませんね」。
まぁ、「そらそうやわな」と思った。
Aさんが知ってるわけがない。

イベントが終わってから2週間経つが、今も少し気になる。
「ポケチキ」と書かれた赤い法被を着たおっちゃんが。

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