(283)伊勢志摩を走る。~2日目 登って登って第1エイド~

12月1日、午前8時5分、スタート。
志摩スペイン村の駐車場に設けられたスタート地点から、いったん車道に出て、左折、左折。
裏道?
業者が搬入する際に使う道?
何かよくわからない冴えない道を進み、スペイン村の中を目指す。
まだ、スタートから本当にわずかな距離しか走っていない。
が、急に「あ、ちょっと。どうしよ」とBさんがわめきだした。
「スタートして2分でリタイア?まさかな」と思い、「どうしました?」と聞くと、右足に括るバンドを締め忘れたとのこと。
「すぐに追い付きますから、先に行って下さい」。
「はい、わかりました」。
いきなりアクシデントですわ。
遅刻にしてもメンテナンス不足にしてもそうだが、基本、Bさんは準備をするのが苦手なのだ。

昨日うろうろしたスペイン村の広場に出た。
他の自転車乗りの人たちも足を止めて、写真を撮りあって和気あいあいとしている。
遅れて来たBさんと合流し、我々も写真を撮った。
「おっさん3人で何してるんやろ?」と思いながら。

ロードバイクに乗ってスペイン村の中を走る機会はなかなか無い。
貴重な経験ではある。
ただ、当たり前だが、道路ではないので走りやすい路面ではない。
「では、そろそろ行きましょか」。
3分ほどして、また車道に出た。

あまり意識してサイコンを見ていなかったので、正確なスピードはわからないが、時速20㎞ちょいぐらいだろうか。
皆(たくさんの知らない人も含めて)、車道の左端をゆっくり進み、長い列ができた。
そして、登りが始まる。
車1台通れるぐらいの幅しか無い道。
両サイドは、草木。
それほどきつい登りでもないし、まだスタートしたばかりだ。
皆、体力が有り余ってるいるのだろう。
もくもくとクランクを回して登り続け、やがて下りになり、平坦な道に出た。
「しばらくは余裕かませるな。さぁ、第1エイドまで20㎞もない。張り切って行こー」と思ったら、前の方が渋滞。
自転車の渋滞。
「どういうこと?」。
数m、前に進むと停止。
数m、前に進むと停止。
「意味わかれへんわ。前の方で落車しまくってんのか?」。
ストレスを感じながらも徐々に前に行くと、「あ、そういうことか!」。
先に、10秒ぐらいしか青にならない信号があったのだ。
「こんなもん、ただの嫌がらせやんけ…」。
しばらく待っていると、青信号で渡ることができたが、子供の頃にした、蛙が道路を横断するゲーム「フロッガー」を思い出す。

Aさんが先頭になり、Bさんと俺を引く。
走行ラインから膨らみ、数人抜かしてから、また膨らんで数人抜かす。
「別に急がんでもええんちゃうん」と思いながらついていったが、集団が遅すぎて、Aさんにとってはストレスが貯まっていたのだろう。
Aさんのすぐ後ろにBさんも膨らんで走り、急にスピードをあげた。
「え!?」。
俺は反応できなかった。
「参ったなぁ」と思ったが、荷物でパンパンになったリュックを背負う人が見えたので、「あ、Bさん、そこにおるんや。追いかけよう」。
Bさんは整理ができないタイプだ。
なので、「パンパンのリュック=Bさん」と勝手に決め付け、横に並んで話し掛けようとした時、別人であることに気付いた。
「誰?この人…」。
「てか、AさんもBさんもどこ行った?」。
ちょっと焦ってきた。

登りが続く。
登りと言っても、山道ではない。
両サイドに民家や商店がある道。
クランクを回しながら、「この辺に住んでる人、不便ちゃうんかな?」と思った。
まぁ、余計なお世話だ。

「この登り、結構しつこいなぁ」。
登っても登っても、また登り。
もともと、俺は知らない道を走る時、最初からインナーで走ることにしているので、脚が痛くなることはなかったが、「Bさん、大丈夫やろか?」。
「登りきれたやろか?」。
少し心配になった。

目の前には、AさんもBさんもいない。
その代わり、知らない人がいる。
男性と小柄な女性。
後ろから見ていたので、カップルか親子がわからないが、しばらく彼らの後を走った。

知らない人に風避けになってもらい脚を回すと、やがて海が見えてきた。
「そういや、第1エイドステーションは漁港やったな」。
人が集まっている広場も見えた。
伊勢志摩サイクリングフェスティバルののぼりもある。
曲がって曲がってエイドステーションの手前まで来ると、AさんとBさんが俺を待っていた。
「待たしてすみません。結構、待ちました?」。
「いえ、今、着いたところです」。
「じゃ、お茶漬けかなんか振る舞われるので、食べましょう」。
芝生にロードを寝かせ、タープテントに向かう。
スタッフからアオサノリの茶漬けをもらい、体に流し込む。
染み込む。
前日、酒をそこそこ飲んだので、生き返るようだ。

食った後、5分ほどダラダラし、「そろそろ行きましょうか?」とAさん。
「ちょっと、水もらってきますわ」。

約10㎞先の第2エイドに向けて、我々はビンディングペダルにクリートをはめる。

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