(288)伊勢志摩を走る。~2日目 さよなら。また来るよ。~

第3エイドステーションで、ビーフジャーキーとナッツの盛り合わせを貰う。
「こんなん、口に入れたら酒飲みたなるやん」と思ったので、俺は一切手をつけずサコッシュに放り込んだ。
Bさんは、ナッツをボリボリ食い始めて、あっと言う間に一袋カラに。

山道を抜けてゴールに突き進む。
が、登りで遅れるBさん。
フォローする俺。
そして、マイペースに走るAさん。
我々は、3人で1つのチームなのだが、足並みを揃えにくい。
そもそも、「パールイズミにオーダーしたチームジャージを着て、みんなで伊勢志摩サイクリングフェスティバルに参加したい」。
そう考えていたが、とても残念なことに、1日、たった1日、間に合わなかった。
イベント前日、我々がスペイン村を満喫している時に、「今からお届けに参ります」と宅急便の兄ちゃんから電話があったのだ。
取りに帰られへんわ。

山道を下り、ゴールであるスペイン村に向かう車道に出た。
緩やかな登り。
俺の中では、もうゴールした気分だったが、Bさんは違う。
必死。
スペイン村の駐車場に設置されたゴールは、もう目と鼻の先。
なのだが、主催者は地味に意地悪だ。
そこでまた緩やかな登り。
何度も振り返り、「Bさん、大丈夫かな?あとほんの少しですよ」。
Bさんの姿が消えた。

車道の脇に寄り、俺はサドルから降りる。
このイベントは、レースではないので急ぐ必要もない。
心にゆとりを持って、楽しめばいい。
が、「Bさんはゆとりなんて言ってるどころの騒ぎじゃないんやろなぁ」。
後ろを見つめていると、ボロボロのBさんが登ってきた。
ふたりでゴールをくぐり、先にゴールしたAさんとも合流。
「みんな無事に終われてよかった」と思う。

受付に行き、完走証を貰う。
まぁ、これを持っていたところで、世間にでかい顔ができるわけではないが、思い出証明書として俺なりに大切にしたい。
また、ドーナツとてこね寿司も貰う。
てこね寿司。
この地方の名物グルメで、ヅケと酢飯の弁当だ(食ってへんから、ほんまにそうかはわからんけど)。
俺は、「ほんまに日本人か?」と思われるかも知れないが、寿司が苦手で魚もあんまりなので、「俺の分、Aさん食べて下さいよ」と差し出したところ、「僕が食べますよ」と横からBさんがしゃしゃり出た。
「ほんまに2つも食べれます?」と確認を取ったのだが、「はい、大丈夫です」。
結局、半分残しよった。
「もう、なんやねん?」。

昼過ぎにゴールしたのはいい。
予定通りだ。
ただ、これからの予定を考えると頭が痛い。
帰り、賢島駅からまたサイクルトレインに乗るのだが、まず、賢島駅までロードバイクをトラックで運ぶ。
その受付が2時30分ぐらい。
無駄に時間が余る。
「空き時間ありますけど、どうしましょ?ビール飲みたい思うんですけど」。
そう提案したが、周辺が田舎すぎて難しい。
昨日なら、スペイン村のフリーパスがあったので、ビールを飲むためだけに入場できたが、この日は無理だ。
「じゃあ、ホテルスペイン村はどうですか?歩いて行けますよ」とAさん。

Aさんに誘導され、ホテルスペイン村に着いたが、そこそこの高級感があり、サイクルジャージ姿の我々は、場違いな気もしなくはない。
「軽くビール飲めたらええわ」とホテル内を散策したが、ディナーしかやってない店もあり、我々にとって選択肢が少ない。
「ここ、やってますやん」と店頭に立て掛けられたメニューを見ると、ビール800円。
「甲子園みたいなもんやな」と、諦め半分で入店し、1杯ビールを飲んだ。
俺は生だが、AさんとBさんはスペインのビール。
みんな1杯飲んで店を出た。
ちなみに、Aさんがおごってくれた。
ありがとう。

集合時間より早くスペイン村駐車場のステージ前に着いた。
10分ほど余裕がある。
退屈なのでうろうろしていると、赤福餅の売場にコスプレ参加者が数人たむろっていた。
セーラー服を着た男とか、シャアやドラえもん。
「なかなかおもろいこと考える人らやなぁ。でも、ポケチキのおっちゃんの方がはるかに斬新やったで」と思う。

ロードをトラック積んでもらい、我々はバスに乗って賢島に向かう。
スペイン村周辺、ホテル周辺は田舎すぎて不便だったが、イベントも含め、1泊2日、とても楽しめた。
バスの窓から、少しずつ遠ざかっていくスペイン村を見て、「また来るよ。来年も来るよ。しばらくさよなら」。
と言うと、格好つけすぎか。
でも、ひとりでもいい。
「また来たい」と、本当に思った。

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