(289)伊勢志摩を走る。~2日目 帰宅~

バスに乗って賢島駅に着いたのはいいが、サイクルトレインが発車するまで1時間ほど余裕がある。
「ぼけっと待っとくんも暇やしなぁ」。
駅の売店(ファミマ)に入り、電車で飲むビールを買った。
つまみは、第3エイドステーションで貰ったビーフジャーキーでいい。
入口を入ってすぐ右手には土産物コーナーがあったが、荷物になるのが嫌なのでスルー。

店を出て、「まだまだ時間は余っているな」と、駅の2階にある伊勢志摩サミット記念館に寄る。
展示パネルに目を通しながら奥に進むと、各国首脳が座った円卓があった。
安倍総理の席だけ座って写真を撮ることができたので、「記念に1枚いっとこか」と思ったが、既に席についたおばちゃん連中がなかなか離れてくれない。
「もう、ええか」。
俺は施設を出た。

我々のロードバイクを積んだトラックが駅前に止まった。
取りに行かなくてはならない。
引換証をスタッフに渡し、サイクルラックから自分のロードを下ろす。
そして、ロードを押して駅構内に戻ろうとしたところ、Aさんが何かトラブっているではないか。
様子を眺めていると、引換証を紛失したようで、ポケットとバックパックの中を掘り出している。
しばらくして、ロードを押したAさんが戻ってきたが、「この人も、Bさんクラスじゃないけど、なかなかそそっかしい人やな」と思った。

Aさん、Bさんと意見交換をする。
「帰り、飲み屋に寄って打ち上げしようって話でしたけど、真っ直ぐ帰りませんか?サイクルトレインに乗って大阪に着くん、8時前ですよ」。
「明日、仕事ありますし、寄り道せんと帰りましょうか」。
「嫁の具合が悪いので、打ち上げは無い方が都合がいいです」。
みんな疲れていたこともあり、「打ち上げは無し」となった。
が、Aさんひとりで飲みに行っていたことを後から知る。

サイクルトレイン、発車。
来た時と同じ座席。
隣に誰もいないので、話相手もおらず、俺は景色をぼんやりと眺めながら缶ビールを飲んだ。
あと、ビーフジャーキーを噛んだ。
後ろの席では、Aさんがひとり静かにしている。
Bさんは、誰もいない車両、4号車に移った。
いびきがうるさいBさん。
おそらく、他の乗客に迷惑を掛けないよう、無人の4号車で寝るつもりなのだ。

行きよりも退屈な車内。
俺やAさんだけではなく、参加者のほとんどが疲れていたのだろう。
しーん。
途中の駅で数人下車し、ますます寂しい雰囲気。
まぁ、気にしたところでどうにもならない。
ぼんやりと窓の外を見続けた。

上本町の駅に着き、添乗員に連れられて駅から出た。
Aさんは、ロードに乗って走って帰ると。
俺とBさんは、輪行して電車。
「またBさんの面倒を見なあかんな」。
上本町の駅前で、輪行バッグを広げる。
そして、ふたりで自転車をばらして詰め込んだ。

「今からまた電車に乗って帰りますが、混んでる可能性があります。混んでると、我々みたいな輪行バッグ担いだやつは、他のお客さんに迷惑なので、1番前の車両と1番後ろの車両に別れて乗りましょう」。
Bさんにそう伝え、俺は先頭車両に乗った。
最寄り駅に着き、輪行バッグからロードを取り出し、ホイールをはめていると、「お疲れ様です」。
Bさんが現れた。

同じく、輪行バッグを地面に置き、フレームにホイールをはめようとするBさん。
隣で見てて「またなんかトリッキーな動きしてるなぁ」と思ったので、「俺、手伝いますよ」と言うと、「大丈夫です」と。
「大丈夫なわけないやんけ」と思う。
Bさんの自転車は、白いフレーム。
ただ、清掃をしていないため、黒やグレーと混じった迷彩色のようなマウンテンバイクだ。
触ったら手が汚れる。
でも、「もう、ここまできたら最後まで面倒見よう」と決意し、とりあえず走れる状態にした。

「お疲れ様でした」。
Bさんと別れ、家に向けて走る。
たった1泊2日の旅に出ただけなのに、家が恋しい。
玄関に入り、脇にロードを立て掛けてゴロゴロする。
やっぱり家は居心地がいい。
「帰ったら、すぐに寝よう」と思っていたが、急にひとり打ち上げをしたい気分になり、近所のファミマへ走って、お好み焼きと芋焼酎を買った。

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