(322)Nironeを譲って喜んでもらう。-1

BianchiのNironeを知り合いのRさんに譲る。
「はい、どうぞ」とお渡しできたら俺としては楽なのだが、そういうわけにはいかない。
RさんにはRさんの、俺には俺の都合があり、いろいろと手を加えなければならない。

俺としては、サイコンやカーボンホイール、ビンディングペダルなど、自分で付け加えたオプションを外したい。
もし、新たにロードバイクを買うことがあれば、それに搭載したいので、オプションはとりあえず剥がしておく。
Rさんとしては、「最低限、すぐに走れる状態で受け取りたい」とのこと。

「面倒くさー」という気持ちと、「これを切っ掛けにRさんにもロードの楽しさを感じてもらいたいな」という気持ちが俺の中にある。
まぁ、基本、「面倒くさー」と思いながら、引き渡す前の日、作業に取り掛かった。

Nironeからカーボンホイールを外す。
そして、完成車に付いてきたアルミホイールと交換したいのだが、「どっちやっけ?」。
部屋の隅に立て掛けられた、埃を被ったアルミホイール前後ペア2セットを見つめて悩む。
完成車を買い、すぐ別のホイールに交換して数年経った。
愛着も無ければ記憶も無いホイール。
「Bianchiのサイトを見たら、過去のモデルがわかるよな」と、スマートフォンを手に取ったが、そもそも、このNironeを買ったのが何年前だったか思い出せない。
また、思い出す作業自体、「面倒くさー」。
目の前にVittoriaのホイールセットと、Visionのセットを並べ、「ここは勘でいこう。こっちのVittoriaのホイールが正解や」。

Vittoriaのホイールに空気を入れ、清掃用のクロスで拭く。
「おー、綺麗になったな。新品同様やん」と、少し達成感に浸ったが、盲点があった。
スプロケの清掃もしなくてはならない。
埃まみれの上に、よく見たら俺の髪の毛まで絡み付いているスプロケ。
「これをそのままRさんに渡したら、普通に気持ち悪がるよな」と、清掃作業を続けたが、何かおかしい。
近くから、「シュー」、「シュー」と異音が聞こえる。
その原因を探ったところ、前輪チューブの空気漏れ。
「面倒くさー!チューブ交換せなあかんやんけ!」。
「面倒くさー!ほんま面倒くさー!」。

チューブ交換が面倒くさいので、Vittoriaのホイールは諦めて、もうひとつの選択肢、VisionのホイールをNironeに取り付けることにした。
再度、リムやスポーク、スプロケを清掃し、空気を入れてパンクしていないことを確認。
「手間取ったけど、とりあえず、ホイールに関してはこれでOK」。

次に、ブレーキシュー。
俺がNironeに付けたカーボンホイール用のブレーキシューを、アルミ用に交換しなくてはならない。
これは余裕。
数分で終わった。
「よしと」。
そして、Visionのフロントホイールを、フロントフォークに付けようとしたところ、はまらない…。
「え、どういうこと?」。
原因を探った結果、ブレーキシューが邪魔してる。
「面倒くさー」。
ブレーキシューの位置を微調整し、なんとかホイールははまったのだが、ダメだ。
ブレーキ面とブレーキシューに間隔が無く、常にブレーキが効いてる状態。
ホイールが固定され、回らない。
微塵も。
「このままRさんに渡したら、ぶちギレるやろなぁ…」。

結局、Visionのホイールは放棄し、Vittoriaを選択。
「チューブの交換、面倒くさー」と思い、ムカムカしながら作業に取り掛かった。
が、ロードに乗り出してから何度も経験した作業だ。
案外、あっさり処理できた。
むしろ、途中からちょっと楽しくなった。

前後のホイールの取り付け、ペダルを回してみると、ちゃんと回転してくれた。
後はリアライトやボトルケージ、携帯ポンプを取り外し、「終わったー!」と思ったが、ひとつ忘れていた。
ペダルの交換だ。
俺がNironeに取り付けたペダルはSPD-SL。
しかし、Rさんは専用のシューズを持っていないので、スニーカーでも乗れるフラットペダルに交換しなくてはならない。
「そんじゃ、さっさと終わらせて、もう寝よう」と、作業に取り掛かろうとしたが、手元にペダルレンチが無い。
散らかった部屋を探し周り、1時間かけてやっと見つけたが、疲れ果てた。
「ペダルの付け替えは明日にしよ。寝る」。

翌日、仕事を終え、Rさんに引き渡す1時間前、やっとこさペダル交換に取り掛かる。
ペダルレンチをペダルの根元にかまして、くぃっと回せば…、回らない!
取り付けの際、固く締めすぎたからだろうか。
ペダルが取れない。
「あ、ちょっと待てよ。このペダル、アーレンキーで取り付けたんちゃうかな」。
次はクランクの裏側にアーレンキーを差し込み、くぃっと回せば…、回らない!
これでは、ペダル交換ができない。
30分ほどアーレンキーを回そうと試みた。
再度、ペダルレンチも試したが、やはりダメだった。
「Rさんと約束した時間に間に合えへんな…」。
悩んだ結果、SPD-SLペダルを付けた状態で渡すしかない。
「このペダル、専用のペダルなんですけどね、親指の付け根で踏めば、ちゃんと回りますから。ちょっとコツがいりますけどね」。
とかなんとか言いながら、「踏みにくい場合、もしよかったら、これを使って下さい」とフラットペダルを差し出す。
「そうすることにより、Rさんはお得感を感じてくれるのではないか」と、プラスに考えることにした。

家を出て、Nironeを近くのマンションの壁に立て掛けた。
やり残した作業は無いか、取り忘れたパーツは無いか、最終チェックをする。
と、「これはちょっと…」と感じたのが、シートチューブのボルト。
元々、ここにボトルケージと携帯ポンプを取り付けていたので目立たなかったが、よく見たら、ボルトが錆びているではないか。
軽く拭いてみて、シートチューブの汚れは落ちたが、ボルトの錆はどうにもならない。
綺麗なチェレステカラーに錆。
物凄い違和感。
どう言い訳すればいいか。
「ガンプラのダメージ加工みたいなもんですよ。これはこれで味があるんですよ」とでも言っておけばいいのか。
悩んでも時間が過ぎるだけなので、細かいことは気にせず(ペダルに関しては全然細かくないが)、俺はRさんの元に向かった。

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