(408)木村 花選手、ご冥福をお祈りします。

阪神しまなみ海道を走った後、家に帰って水を飲み、風呂に入ってから酒を飲んでゴロゴロ。
なんとなくスマートフォンでネットニュースに目を通していると、「木村 花 死去」。
「はいはい。twitterか何かが情報源のフェイクニュースやろ?」と最初は信じなかったが、どうやら本当らしい。

俺は特別、木村 花選手のファンというわけでもないが、ちょっとした思い入れがある。
3年ほど前だったか、後にチームメイトとなるAさんと鳴門から高松へ走った時だ。
高松城前のベンチに座って休憩していると、唐突に「krmさん、いついつ暇ですか?一緒にプロレス行きませんか?」。
俺はもともとプロレス大好きだったが、前田 日明選手が引退してから徐々に興味を失い、社会人になって仕事が忙しくなると、プロレスどころじゃない日々。
「プロレス?久々やな。まぁ、付き合いや」と思い、「その日は暇ですわぁ」とAさんに伝え、当日会場へ(神戸のサンボーホールだったと思う)。

観戦した団体は、スターダム。
Aさんが団体の関係者と付き合いがあるようで、リングに近く観戦しやすい席を用意してもらえた。
ちなみに、ブルや北斗、アジャ、バイソン、井上京子、貴子時代の女子プロレスの知識はあるが、スターダムの選手は紫雷イオ以外聞いたことがなかった。
「いまいち感情移入しにくいよな」と思いながら、リング上に目を向ける。

1試合目が始まる前に、全選手入場。
リング上には、「この選手、小学生ちゃうんか?」、「怪我せえへんか?」と少し不安を感じてしまうレスラーもいれば、女子プロレス界の顔である紫雷イオも。
確か20人ぐらいの選手がいたと思うが、中でも存在感を発揮していたのは木村花。
当時、彼女は大江戸隊というヒールユニットのメンバーで、黒を基調としたコスチュームに身を纏っていたのだが、「パンスト履いてんのか?こんなコスチューム、あるんか?」。
「他の選手、みんなリング上で整列してんのに、何でこの人だけコーナーポストに乗っかって余裕かましてるんやろ?やたらふてぶてしい表情やし」。
一般人なら「感じ悪いなぁ」だが、プロレスラーとしては最高。
自分をお客さんに印象づけられるレスラーは、特別な能力がある。

数ヶ月後、知り合いがWRESTLE-1というプロレス団体の関係者と付き合いができ、「krmさん、チケット買いませんか?」と声を掛けられたので、「じゃあ一番安い席を」。
WRESTLE-1に対する予備知識は、「武藤敬司が作った団体」ってことぐらいで、「観戦前に勉強しとかなあかんな」と公式HPやYouTubeを確認したところ、「うお!ここにも木村花がおるやんけ!」。
どうやら、正式にはWRESTLE-1に所属のようで、そこのリングではファイトもコスチュームも正統派。
インタビューを視聴しても、アイドルっぽさやあどけなさがあり、「若くて華のある女子プロレスラーやなぁ」と感じたが、スターダムのリングにおける小生意気な小娘っぷりを思い出し、その降り幅のすごさに感心した。
亡くなってから、「将来、世界No.1の団体WWEでトップになり得る逸材だった」と武藤選手がコメントしていたが、「俺もそう思うわ」だ。
具体的にどうと説明しにくいが、プロレスラーにはファイト以外の魅力も必要不可欠で、木村花にはそれが普通にあったと思う。
努力してどうにかなるものではない、特別な魅力があったと思う。

将来性豊かで、これからもっとプロレス界の中心に、頂点に向かうはず。
なのに、何故彼女が亡くなったのか俺には不思議だった。
調べてみると、リアリティ番組に出て視聴者のヒートを買ったと。
Twitterでボロクソ言われていたと。
きっと、悩み苦しんで冷静に考える余裕が無くなり、自ら命を絶ったかと思う。
ただ、Twitterでくだらないいちゃもんをつけてくる人の言葉よりも、プロレス会場にたくさんいる自分を全肯定してくれるファン、自分の才能を認めてくれるお客さん。
そんな彼らことを思い出してくれれば、踏みとどまれたかもと俺は考えてしまい、残念な気持ちになる。

木村 花選手、ご冥福をお祈りします。

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