(116)頼むから、俺を眠らせてくれ。ジロ・デ・イタリア2019。-2

サイクルロードレースを初めて観たのは、大学時代。
試験勉強だったか、課題をこなしていたかは忘れたが、深夜、俺はテレビをつけた。
と、そこに写し出されるヨーロッパの街並みや自然に、目を奪われる。
放送されていた番組は、ツール・ド・フランスだった。

自転車を趣味とし、特にロードバイクに乗り出してから、ネットや雑誌でロード関連の記事をよく読むようになった。
その中に、プロチームが使用している機材を紹介している記事があり、ひとつのフレームに魅了される。
「やばい。格好良すぎる。宝くじ当たったら(買ったことないけど)、絶対購入するぜ!」。
Bianchiが、ヴァカンソレイユ・DCMというプロチームに供給しているOltre XR。
市販されているOltre XRと違い、Bianchiの象徴的なカラーであるチェレステ、そして差し色に青(ヴァカンソレイユのコーポレートカラー)。
カラーリングだけだと、未だにこのOltre XRを超えたフレームは存在しない(俺の中で)。

その年のツール・ド・フランス。
俺は、J SPORTSを契約している知人のテレビで観た。
さすがに、「全21ステージ(23日間)観たい!」と頼むのは無茶なので、数ステージをテレビ、それ以外を翌日のネットニュースでチェック。

テレビの前で、俺は新城幸也選手の好成績を祈りながらも、チームはヴァカンソレイユを応援。
チェレステと青のOltreが、世界の大舞台で活躍する姿を見たい。
ヴァカンソレイユの選手については、ひとりも知らないが、Oltreの勇姿を見せてもらいたい。
だが、結果的には、「かすりもしなかった」という印象…。

世界最高峰のレースであるツール・ド・フランスに参加できるだけでもすごいことだ。
だが、「参加させてもらっているけど、相手にはされていない」。
そう思うと、歯痒さが残る。
「いや、ちょっと待てよ」
何かひっかかる。
「似てるよな」
「参加させてもらっているけど、相手にはされていない。何かに似てるよな」
「妙に親近感がわくのは何故?」
俺の中で、ヴァカンソレイユが急に愛しく感じられた。
その理由をよく考えたところ、「あ、阪神や」。
ヴァカンソレイユが、かつての阪神タイガースと重なった。

弱いチームを応援すると、ストレスが溜まるし、他人に期待しなくなる。
何事もあきらめて見る癖がつく。
子供の頃から阪神ファンの俺にはわかる。
だが、弱いチームを応援すると、「今以下は無い」という安心感を得られる。
また、「伸び代しかない」、「可能性がある」と前向きにもなれる。
「よし、本腰入れてヴァカンソレイユを応援するぞ。彼らが少しずつでも強くなる。その過程を楽しみたい」と、俺は思った。

が、しかし、その年を最後に、プロサイクリングチームであるヴァカンソレイユ・DCMは、消滅した…。

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