(120)頼むから、俺を眠らせてくれ。ジロ・デ・イタリア2019。-6

今年の3月、まだプロ野球が開幕する前で、暇をもて余していたある日、DAZNでロードレースの録画を観た。
「ティレーノ~アドリアティコ2019」だ。

グランツール以外のロードレースをあまり熱心に観ない俺は、とばしとばし、ぼけ~っとスマホの画面をながめていたのだが、最終ステージで「おおっ!」と唸った。
BianchiのAquila CVと、ユンボ・ヴィスマのプリモシュ・ログリッチェ選手に。

平べったく、いかにもエアロなTT(タイムトライアル)バイク、Aquila CV。
グニュっと伸びたエアロハンドルバーは、モビルアーマーのビグロを彷彿させる(まぁ、Aquilaに限った話ではないが)。
フレームは、鮮やかなチェレステに、Bianchiのシンボルである鷲マークが抽象的にデザインされ、俺は心を鷲掴みにされた(鷲マークと鷲掴みをひっかけているわけではない)。
普段、ロードバイクであっちこっち走り回ると、Bianchiに乗っている人は何人も目にするが、BianchiでもAquilaに乗っている人は見たことがない。
「だからこそ、俺は乗りたい」。
そう思ったが、「これに乗って走るん遅かったら、かなり格好悪いよな」と、即あきらめた。
まぁ、そもそも買う金が無いんですけどね。

Aquilaに乗るログリッチェは、もともとスキーのジャンプ選手だった。
自転車競技に転向したのは、2012年。
短いキャリアの中で、グランツールにおいて数回のステージ優勝を経験している。
また、グランツール以外のレースでは総合優勝も達成した。
本当に、化け物じみている。

個人総合成績2位で挑んだこの最終ステージは、10㎞ちょっとの個人TT。
全選手が集団になって走るステージとは異なり、各選手が時間差で個別に走り、タイムを競う。
まず、TTが得意なログリッチェが好成績を叩き出す。
総合優勝争いは、最終走者、総合1位のアダム・イェーツ選手の結果次第。
イェーツが総合1位を守るか、ログリッチェが逆転優勝するか。
俺は、スマホの画面から目が離せなくなった。

イェーツは速い。
「ログリッチェ、よく頑張ったよ。惜しかったよ」と、ログリッチェではなく俺自身が傷付く前に、俺への慰めの言葉を用意した。
ところが、イェーツ、後半失速。
「ログリッチェ、チャーンス!」と、夢中になって画面と向き合った。

イェーツが、間もなくゴールにたどり着く。
「イェーツ、総合1位を守り抜くか!?」
「ログリッチェの逆転優勝か!?」
実況と解説が煽りまくる。
この時、目は離せないが、観てられない心境にもなった。
子供の頃、怖い番組「あなたの知らない世界」を、布団かぶって観ていたことを思い出す。

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