(586)不人気ブログの記事を書き続ける-3

日の目を浴びることなど想像できない…そんな我がブログにメールをくれたJさん(兵庫県在住 40代 男性)。
「彼に対し誠意を込めて返事を書きたい」と、スマートフォンのメール作成画面を開いた。

書き出しは、「ブログを2年続け、やっと2通目のメールを頂き…自分は小躍りしてしました。本当に有り難うございます」。
続けて、「六甲山は登りましたか?」など地元ネタを散りばめて「以上です」。
送信。
まぁ、書いた本人が言うのもなんだが、読み返してみて「誠意?普通のメールやんけ」と感じた。

翌日、Jさんから返事が入る。
「お返事有り難うございます!」と。
「なになに、『私からの返事に喜んでもらい、私も嬉しいです!』」。
俺としては、「いえいえ、どういたしまして」と恐縮しながら読み進める。
「で、『中年初老の私からのファンレターに喜んでもらえるとは、本当に光栄です!』って?」。
ここまで読み、俺は苦悩する。
「『ファンレター』って、俺も中年初老のおっさんやで…。ほんま、ただのおっさんやで…」。
現実として、中年初老のおっさん同士がメールのやりとりをしているだけ…なのに、「ファンレター」や「光栄」と言われると、「Jさんって…、何か勘違いしてへんか?」。

嫌な予感しかしないが、更に読み進める。
と、「小学生の頃、大好きだったアイドルにファンレターを書きました。結局、返事はもらえませんでしたが、もしも返事があれば、今、krmさんから返事をもらえたのと同じぐらい嬉しかったと思います!」。
天井を見上げ、目をつむる。
そして、俺は確信した。
「この人は、完全に勘違いしている」と。
俺はしょぼい脚でしょぼい走りしかできず、しょぼいブログを書くしょぼい中年初老のおっさんだ。
「アイドル」の「ファンレター」がどうのこうのという次元で生きている人間ではない。

心の底から「参ったな…」と思う。
ただ、ほんの少し興味が湧いた。
「その、ファンレターを送ったアイドルって誰やねん?」。
Jさんと俺は同世代だ。
と言うことは、Jさんが小学生の頃は俺も小学生。
きっと、俺が小学生の頃に存在感のあったアイドルへ、Jさんはファンレターを送ったはず。

人生を振り返ると、物心付いた時に最も存在感のあるアイドルは松田聖子だった。
次に中森明菜の時代になり、他にもたくさんのアイドルがいたが、俺の中では南野陽子だ。
「間違い無い。Jさんがファンレターを送ったのは、南野陽子や。確認を取ろう」。
俺はメール作成画面を開いた。

翌日、Jさんから返事が入る。
「南野陽子?好きでしたよ。スケバン刑事、映画も観に行って、なんとかかんとかでねぇ…」。
途中まで読み、「俺の予想は外したな」と感じた。
スケバン刑事が好き。
映画館に行った(俺も行きました)。
でも、南野陽子に対する熱さをいまいち感じられない。
何となく「おさえてるだけ」という気がしてならない。
なら、正解は誰?
本田美奈子?

読み進めると、正解は「小川範子」。
「え?」。
俺は「懐かしすぎるやろ!」と「渋すぎるやろ!」が、口から同時に出そうになった。
「そこ?そこを突く?」。
確かに、小川範子は可愛かった。
えくぼが印象に残っている。
また、主観的ではあるが、「控えめで自然体で、可愛いお姉ちゃん」という印象もある。
俺よりも上の世代の人は、「可愛い妹」という幻想を抱いているのではないか。
知らんけど。

まぁ、意外な答えだったが、小川範子は可愛い。
ファンレターを送りたくなる気持ちもわかる…わけだが、よく考えてみると、Jさんの中で小川範子と俺は同格?
Jさんの人生においてファンレターを送ったのは、小川範子と俺なのだ。
これは値打ちがある。
ひとりの人間の人生において、俺は小川範子と同格。
今まで「不人気ブログを立ち上げて、しょぼいクソ記事を量産するだけのダメな僕…」とネガティブに自分を捉えていたが、「俺は小川範子と同格」を誇りに、これからもクソ記事を書き続けていきたいと思う。

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