(625)友達が減る瞬間-4

ホルモンは美味いが、飲み会としては最低だ。
友人Bを相手に、ゴルフについて語るA。
「競馬の次はパチンコときて、とどめにゴルフか…」。
俺にとって興味の無い話をマイペースに続けるAに、相当な嫌悪感を抱く。

何もゴルフが悪いわけではない。
俺がロードバイクに乗るように、Aがゴルフを好きなのは結構だ。
しかし、俺がゴルフをせず興味も無いことを知りながら、何故、俺の前で長々とゴルフの話ができるのか?
無言の俺を見て、「krmも楽しそうにしてるなぁ」と感じているのか?

俺はロードに興味が無い人の前で、「COLNAGOの今年のモデル、めちゃめちゃ格好よくてなぁ、コンポはカンパの○○で、××やから△△でなぁ…」など、長々と語らない。
自分の好きな話を語ることによって自分は満たされるだろうが、相手にとっては迷惑でしかないからだ。
仮に、話し相手と俺、それぞれがいくつかの話題を持っている場合、俺は共通する話題を提示する。
が、こんなことをAに要求しても無意味だろう。
40を過ぎた今になっても、「自分中心が通用する」と信じて疑わないようだから。

Aとの付き合いは中学時代にさかのぼる。
ホルモンを噛みながら思い返してみると、Aは、昔から大して面白くないことを言ってはひとりで笑っているタイプだった。
高校、大学と進み、ノリで生きてると言うか、がさつな人間に進化。
本人は楽しいのだろうが、相手の頭を叩き「なんでやねん!ガハハハ!」といった感じの。
おそらく、ダウンタウンの浜田を意識したのだろう(かなり鬱陶しかった)。
社会人になると、Aは親の仕事を受け継ぐ。
その当時の俺は、上司から詰められ、意見を屁理屈として処理され、「自分の都合は他人には通じないのが当たり前」を叩き込まれたが、Aの場合はそういった経験を積む機会が少なかったのではないかと思う。
「だから、人様に対し自分が主導権を握っていると勘違いしてるんやろなぁ」。
ひとりで納得しつつ、ハイボールを一気に飲む。
隣からは、ゴルフの話を嬉しそうに語るAの声が聞こえた。

ホルモンを一通り食べ終え、追加注文も無いため、男性店員が〆の焼きそばを作ってくれた。
「これも美味いねんなぁ」。
鉄板の上に目をやると、食欲が湧く。
ただ、ゴルフの話題に支配された場の空気は、俺にとって重苦しい。
賑やかに話し合うA&Bを横目に、俺は無言でハイボールのジョッキを口に付けた。

「打ちっぱなしは、よく行ってんの?」。
AがBに話し掛ける。
俺にとって居心地の悪い時間が続く…わけだが、「それなら、こんなアホと一緒に飲みに行けへんかったらええやんけ」。
自分にそう尋ねてみた。
「いやいや、誘われて『仕事が忙しいから無理』って断っても、『来い来い』ってしつこかったやん」。

そうだ。
2、3年前の盆休み、飲みに誘われて、一度は断った。
「○○日はあかんわ。仕事が残ってるねん。だから今回は無理や」。
「じゃあ、××日は?」。
「その日もあかんわ」。
「いつやったらええねん?」。
「△△日やったら夕方少し時間あるわ」。
「そうか!」。
「ただ、2時間ぐらいしか無理やで。会社から飲み屋に行って、また会社に戻らなあかんから」。
「おう、それでええから行こうや」。
当日、仕事の合間に飲み屋へ向かうと、A-B間で競馬の話、ゴルフの話…。
「おい…、俺を誘う必要、あるんか…?」と、その時も疑問に思った。

〆の焼きそばを食べ終え、会計を済ませて店を出る。
前を歩くA&Bは、打ちっぱなしの会員カードを手に取り、有効期限がどうのこうのと話している。
俺は彼らの背中を見ながら、繁華街をのろのろと歩いた。
と、急にAが振り返り、「もう1軒行くか!?」。
本音として「行くわけないやろ、ボケ!」と言いたかったが、「すまん。帰って寝るわ。では、お疲れ」。

帰りの電車の中、扉にもたれかかり、大いに反省。
「あまりに無駄な時間を過ごしてしまった…」。
窓の外に目を向け、「景色を見れば気分転換になるかも」と思ったが、真っ暗。
電車は地下を走っていた。

「今日は悲惨やったけど、来週は旅行や」と、自分を慰める。
俺はSさん(40代 男性 このブログを通しメールをくれた人)と会い、三重を旅する。
Sさんは同じロード乗りだ。
話題に困ることは無い。

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