(672)足の突き指と向き合う日々-4

5月8日。
仕事は休み。
昼過ぎに起きる。
足下に置いた氷入りのビニール袋を手に取ると、もう温い水になっていた。
右足と左足を揃え、腫れ具合を確認。
「まだちょっと腫れてるなぁ」。
右足の突き指は完治していない。
が、「ほぼ治った!いける!」と自分に暗示をかけ、俺はサイクルジャージに着替えた。

ビンディングシューズを履き、右足はなるべく締め付けないようBOAダイヤルを回す。
「うん、痛くない」。
ロードバイクを担いでマンションの階段を降り、サドルに股がる。
「痛いのはやめてね」とペダルに訴えかけた後、右足からクランクを回した。
「うん、痛くない」。

土曜日の武庫川サイクリングロードは、そこそこ人が多い。
すれ違うロード乗り。
数人のチーム。
のんびりと走る家族連れ。
軽く脚を回しながら、舗装路を囲む芝生に目をやると、チェアやシートに座り、まったり過ごしている人たちもいた。
「うっわぁ」。
自然と気持ちが沈む。
この日のことを記事にする際(まさに今)、撮った写真を載せる…わけだが、写真に人が写ると顔にボカシを入れなければならない。
正直、面倒くさい。
「なるべく人がおらんところで写真撮ろうか…」。

サドルに股がっている間、よく考えることと言えば、「帰ってから何を食おうか?」。
頑張った自分にラーメンを食べさせてあげたい気もするが、「ここは節制しようよ」と、ローソンで売ってる冷やっこセットを選択する時もある。
「晩飯がラーメンか冷やっこって、なかなか極端やな」などと、どうでもいいことを考えながら脚を回し続ける。

普段走っていて、危険を感じる下り坂や交通量の多い道、歩行者の動きが読めない状況では神経質になる。
が、まったり走っている時は違う。
体は動かしているが頭は暇なので、どうでもいいことを考えてしまう。
まぁ、それはそれでリラックスできる有意義な時間を過ごせている…ということだ。

「これぞ、サイクリングの醍醐味なのかも」。
そう悟りを開きつつ辺りを見回すと、いつの間にかサイクリングロードを一往復していた。
突き指でおかしくなった右足に違和感を覚えることも無く、遅いながらも1時間近く走ったわけだ。
「足、治ったな」。
俺は確信した。

サイクリングロードの脇に設けられたスロープを登った後、家まで5分ほどのんびりと走る。
ジャージのバックポケットから100円玉を取り出し、いつも利用する自販機でジュースを買い、またちんたら進む。
と、うちのマンション。
ロードを担いで階段を上がろう…の前に、サドルから降りてクリートにカバーを嵌めなければ。
左足を地面に着き、サドルからトップチューブに股がる。
そして、ビンディングを外すため、いつも通りの力で右足をひねったところ、「ギャー!!」。
悶絶。
「足、治ってないな…」。
俺は確信した。

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