(154)読者のあなたへ。彩りの無いブログで申し訳ないです。-2

15年ほど前、「生きてても仕方がないな」と、ほぼ毎日考えていた。
20代後半の俺は、大阪のある会社に入社し、携帯電話のソフト開発と向き合って、1~2年の間、生きた心地がしない日々を送る。

終電まで残業。
休日出勤当たり前。
給料も安い。
さらに、先輩からのアドバイスと言うか、説教もえぐかった。
トゲのある言葉で詰められるわけではない。
やんわりとした言葉だ。
ただ、長時間に及ぶ説教を聞いていると、頭がおかしくなりそうな感覚に、何度も陥った。

作業に煮詰まり、自分なりに調べて、そしてやり直しても、期待通りの結果が出ない。
そこで、先輩に状況を報告し、質問をする。
先輩の対応はと言うと、以下のパターンだ。

1.俺の技術的、性格的な未熟さを指摘する。
2.「もうすぐ、お前は30歳やろ?今のままでええんか?」と不安を煽る。
3.「新人が入ってきて、お前、追い抜かれたらどうするねん?」とプレッシャーをかける。
4.「俺の若い頃はな」と、過去の苦労話をする。

いつも、4の段階で、先輩は自分の言葉に酔うのか、やたらと話が長くなる。
1~4を1セットとすると、約30分。
4まで来ると、また1に戻り4に向かって進む。
ハードな時は、これが3セット。
トータルで1時間30分、説教されるわけだが、もともと俺の不甲斐なさが原因なので、「長いわ」と中断させることもできない。
我慢しながら聞く。
ただ、俺なりに終電の時間や作業の段取りがあって、いつまでも説教を聞いていられる状況ではない。
気が焦る。
俺は、先輩の顔を見て説教を聞きながらも、顔の向こうに掛けられた時計の針が進むのを見て、どうしようもない気持ちになり、唇を噛み締めていた。

先輩は、少し気難しいところもあったが、人柄は悪くない。
酒の席でも、昔話を何度も繰り返すこともあったが(これまた、長い)、会話の中で、たまに「先輩なりに、俺に気を使ってくれてるな」と感じられた。
また、給料がへぼいのも、休日出勤も、終電まで残業してまで働かなくてはいけないのも、すべて俺の技術力が原因で、人のせいにはできない。
そう頭では理解していても、ほぼ毎日、「生きるのは、ただの地獄」と感じていた。

そんな俺でも、そんな苦痛しか無い環境に身を置いていても、携帯の開発にすがりつきたい気持ちがあった。
この仕事は、俺なりに、唯一の拠り所でもあったのだ。
「あなたは何の仕事をしているのですか?」と聞かれた時、「携帯電話のソフト開発です」と答える自分でありたいと、本気で思っていた(ちなみ、今は「死ぬほどどうでもええわ」と思う)。

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