(894)夜のサイクリング~クランクを回しながら考え事をする~

仕事を終え、「お疲れ様でしたぁ」。
俺はロードバイクを担ぎ上げ、事務所を出た。
フロントライトの電源ボタンを押しながら考える。
「帰ってからどうしよ?」
「一旦、家にロードを置いてから王将でも行こかぁ」
「いやぁ、昼に『一平ちゃん』食ったせいで、まだ腹減ってないで」
「そやなぁ」
「じゃあ、どうせ暇やし、ちょっと遠回りになるけど、サイクリングロード寄って帰ろかぁ」

夜のサイクリングロードは暗い(当たり前だが)。
また、フロントライトがどうも頼りなく、視界が悪い。
これでは、クランクを回せない。
クランクを思い切り回せない。
「う~ん」
走っていてストレスが溜まる…とまでは言わないが、爽快感は無い。
微塵も無い。

まぁ、いい。
むしろ、好都合だ。
ゆっくりとクランクを回しながら、考え事をしたい。
今の俺には、じっくり考えたいことがある。

話は数日前に遡る。
10代の頃から付き合いのある友人と、難波で酒を飲んだ。
「最近、どう?忙しい?」
「普通やな」
「何か変わったことあったか?」
「普通やな」
適当に飲み食いし、ほろ酔い気分で店を出て、「そろそろ帰ろかぁ」。
近鉄の難波駅に向かう。
と、友人が「めっちゃトイレ行きたいわ」。
酔った俺は、面倒くさそうに「駅のトイレ、利用したらええやんけ。さっさと駅に行こ」。

難波駅のトイレに友人が入った。
その時、その間、俺はどうしたか?
まぁ、普通なら、トイレの外で友人を待つ。
当たり前だ。
が、酒のせいだろう。
俺は友人を待たず、ひとりでホームに降り、そしてひとりで電車に乗って帰った。
本当に、非常識極まりない。

翌日、何か違和感を覚え、記憶を辿ったところ、思い出す。
「俺、あいつを放って帰ったわ!」
参った。
トイレから出た友人は、きっと、俺を探したことだろう。
その際、普通なら「お前、どこにおるねん?」と電話を掛けてくるはず…だが、そんな電話は無かった。
電話する気も起こらないほど、友人は呆れ返ったのか?
それとも、怒り狂ったのか?

さて、ゆっくりとクランクを回しながら、本件についてどのような対応が望ましいか考える。
「そら、常識で考えたらやなぁ…」
「やっぱり、ここはひとつ…」
「いやぁ、違うで。そこはやっぱり…」
脳内で様々な意見が飛び交った。
「う~ん、結論を出さなあかんなぁ」
「多数決でいこう」
というわけで、集計結果は以下の通り。

3位 謝罪の連絡を入れる 1票
「この前は酔っ払ってもうてな、先に帰ってもうた。ほんまにごめんな。俺か悪かった」。
素直に、正直にそう伝えれば、友人も納得し、許してくれるだろう。

2位 手土産を持って謝罪に伺う 2票
やはり、電話やLINEで伝えるよりも、直接会って謝った方がいい。
その際、カステラでも買って行けば、誠意を感じてもらえるだろう。

1位 このまま放っておく 97票
今回の出来事について、もう一度よく考えてみたところ、「40過ぎの男が怒るほどのことか?」。
そんな気がする。
結局、俺が勝手に気にしているだけで、友人は何も思っていない…が、現実だろう。
うん、そうに違いない。
決定。

「んなことよりも…や」
考え事をしている間、ずっと引っ掛かっていた。
「フロントライト、何かおかしくないか?」
いつもと違う。
何かが違う。
「う~ん」
「あら?電源ボタン、赤で点灯してるなぁ」
「普通は、白で点灯…じゃなかったっけ?」
「じゃあ、赤は何や?何かの警告か?」
「バッテリー残量が少ない…ってことちゃうか?」
「え!?急いで帰らなあかんわ!」
慌ててクランクを回す俺。

にほんブログ村 自転車ブログ ロードバイクへ
にほんブログ村

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする