(936)三重県から来たロード乗りの客人~まさかの却下~

商店街をぶらぶら歩き、お目当ての居酒屋「ざぶとん」はすぐそこ。
しかし、遠目で見る限り、開いている雰囲気を感じない。
「おかしいよなぁ。もう、営業中のはず…やのになぁ」
更に近付くと、入口に貼り紙。
「えぇ、まぁ、臨時休業みたいですね。えぇ」
隣でSさん(三重県在住 40代 男性)が呟いた。

「この辺やったらね、居酒屋はいくらでもありますから、適当な店に入りましょ」
Sさんにそう伝え、引き続き、阪神尼崎界隈を歩く。
歩く。
歩く。
歩きながらも、悩む。
確かに、自分で言ってて何だが、周辺には居酒屋が多い。
ただ、問題もある。

1軒目のてっちゃん鍋で、俺はそこそこ腹が膨れている。
また、後で会社に戻る予定があるため、アホほど…は飲めない。
Sさんはどうだろうか?
てっちゃん鍋の後に、短時間でホルモン焼き300g。
そろそろ辛い時間帯に入ったのではないか?
となると、串カツのような腹持ちするものではなく、何か軽いものがあって酒も飲める店がいい。

「軽いもので飲める適当な店を見付けて、適当に入ろう」
「ただ、『適当』ってのが難しいねんなぁ」
そう思いつつ、歩くこと10分。
「ここにしましょ」
適当な店に、適当に入店。

喉がカラカラの俺は、酎ハイの巨峰を注文。
ジュースっぽいものをガブガブ飲みたかった。
で、生ビールのジョッキを持つSさんと「お疲れ様でした。乾杯」。

さて、Sさんに対し、いきなり本題に入る。
俺には、早目に決めておきたいことがあるのだ。
「あの、いいですか?明日の予定なんですけどね」
次の日、夕方に出社しなければならない用事はあるが、朝と昼は時間の調整ができる。
ロードバイクに乗り、ふたりで走ることができる。
ただ、どんなコースを走るかについて何も話していない。

「一応、俺なりにですね、ぼんやりとコースを考えてるんですけど、Sさんからのリクエストはあります?こんなところに行きたいとか」
「えぇ、まぁ。特には無いですね。×××なんで、えぇ。どこに行っても楽しめるかなって。ふふふ」
「わかりました。では、聞いて下さい」

俺が提案したコース。
翌日の朝、Sさんが泊まる尼崎のビジネスホテルで待ち合わせ、「尼っ子リンリンロード」を西へ進む。
工場に囲まれた運河沿いを走るのは、彼にとって新鮮ではないか。
更に西へと進み、武庫川を越えて南下。
鳴尾浜に向かう。
鳴尾浜には、阪神の二軍球場や寮があるので、外から見学するのもいい。
そして、「阪神しまなみ海道」へ。
鳴尾浜、甲子園浜、西宮浜、芦屋浜、深江浜。
5つの人工島を、橋で結ぶルート。
まぁ、全体的に信号も車も少ないため、我ながらいい感じかと思う。

「で、そう考えてましてね」
「えぇ、いいと思います。えぇ」
「あと、最後の人工島、深江浜にはですね、うどんと蕎麦の自販機があるんですよ。レトロなやつ。よかったら食べてみては?」
「えぇ、いいですね。えぇ。ふふふ」
「食べた感想を聞かせて下さいね。で、ですね、ちょっと問題もありましてね」
「えぇ」
「多分ですけど、片道30㎞ぐらいの距離なんですよ。となると、時間が余るんで、もう少し寄り道をしたいなと」
「えぇ」
「途中、西宮浜に『新西宮ヨットハーバー』がありましてね、そこに寄りませんか?先日も訪れたんですが、たくさんのヨットが係留されてて、なかなかの景色ですよ」
「いやぁ、それは結構です。えぇ。ふふふ」

酎ハイをゆっくりと飲みつつ考える。
「さっき、『どこに行っても楽しめる』って言ってたのに、ヨットハーバーは却下…?」
「『どこに行っても楽しめる人』に、却下されるって…」
俺は複雑な心境に陥った。

つづく

いつも読んでくれて有り難うございます。
これからも読んでね。
正確に押してね。
↓↓↓↓↓

にほんブログ村 自転車ブログ ロードバイクへ
にほんブログ村

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. のぶ より:

    却下されてしまったkrmさんの努力が無駄になってしまった瞬間が…。
    僕ならどこでも着いて行くのになぁと思ったので押しました。

    • krm より:

      ヨットハーバー却下は、本気で焦りました。
      Sさん(三重県在住 40代 男性)は、そこそこノリがいい人なんですけどね…。