(965)三重県から来たロード乗りの客人~ショートメッセージが怖い⑦~

トップチューブを右肩に乗せ、右手で支えながら階段を上る。
「…」
うちの事務所は4階。
少し辛い。

事務所の隅にロードバイクを立て掛ける。
「えと、まずはメールをチェックして、報告書を書いて、仕様書を読んで…やな」。
いつも通り作業に取り掛かる。
と、ポケットに入れたスマートフォンが振動。
「まさか…、Sさん(三重県在住 40代 男性)からのショートメッセージ…?」
俺は凍りついた。

終わりの見えないメッセージが、今日も続くのか。
誰も聞いていない、誰も頼んでいない、尼崎のB級グルメ情報が、今日も連発で届けられるのか。
「捌くん、面倒くさいよ…」と悩み、時間と神経を消耗することになるのか。
二日連続で。

「許して…」
そう呟き、びびりながらスマホの画面を覗くと、取引先からのメールだった。
「助かった…」
普段、取引先から連絡が入ると、「緊急対応の依頼か?面倒くさいなぁ」。
率直に言って、かなり鬱陶しい気分になるが、この日は違う。
一方的に送り続けられるSさんのメッセージ…と向き合うこと以外なら、どんな作業も楽に思える。

パソコンに向かい、仕事に集中。
2時間経過。
と、また、ポケットに振動。
スマホを取り出し、確認する。
「あぁ…」
Sさんからのメッセージだった。
「『2通』か…。まずはジャブね…」

昨日と同様、緊急性など一切無いメッセージが、俺の事情など完璧に無視し、連発で送られるのか。
俺からすると、ある程度まとめてGmailの方に送ってくれれば、「暇な時に読もか」という気分にもなる。
が、Sさんはそんな配慮をしてくれない。
昨日の勢いそのままに、尼崎のB級グルメ情報をこれでもかと送り付けてくるだろう。
心から「勘弁してくれよ…」だ。

そもそも、三重県から旅行に来たSさんを、尼崎に案内したのは俺。
ふたりで酒を飲み、商店街を歩いた。
結果、尼崎の雰囲気を気に入ってもらい、「案内してよかったなぁ」。
素直にそう思う。
ただ、ここまで面倒くさい展開になるとは、想像もしていなかった。

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(1通目)
お疲れ様です。
昨日は夜中にトロトロと車で帰りました。
久しぶりに遊んだーって感じで、めっさ楽しかったです&食べすぎました。

(俺の感想)
もう、いちいち報告せんでええから。
あなたの連絡には、嫌な予感しかしないから。
頼むから、いちいち連絡しないで。

(2通目)
昨日送った画像のスジ煮込み…、ヤバイぐらい美味しかったです…。
まだ食べていないなら、激推しします。
七味とネギで無限に食える気がしました…。

(俺の感想)
やっぱり来た!
今日も尼崎のグルメ情報かよ!
誰も聞いてないから!
もう、無理!
ほんま、無理!
——————–

「お手上げ」と思った。
付き合いが悪い。
ノリが悪い。
感じが悪い。
Sさんにそう思われてもいい。
人格を疑われてもいい。
俺には俺の都合があるのだ。

——————–
(俺の返事)
わかりました。
スジ煮込み、機会があれば食べてみます。
あと、待ち合わせ以外で、メッセージの連発は勘弁してもらいたいなと。
こちらにも都合があるので。
——————–

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