(991)男として情けない俺

この夏、体重が5㎏ほど落ちた。
標準体重未満になったのは、約5年振りかと思う。

「痩せなあかんなぁ」
そう思いつつも努力を怠ってきた俺に、切っ掛けが訪れたのは6月の雨の日。
「今日はロードバイクで通勤でけへんなぁ。まぁ、時間もあるし、歩いて会社に行こかぁ」
傘を差して、トボトボ…トボトボ…。
ロードとは違い、爽快感など一切無く、とても退屈な30分に思えた。

パソコンに向き合っていると、窓の外が薄暗くなり、やがて真っ暗に。
「そろそろ帰ろ」
鞄を持って会社を出る。
足は自然に駅へと向いたが、「ちょっと待てよ」。
電車の待ち時間が鬱陶しいし、そもそも電車に乗るほどの距離でもない(ロード乗りの感覚だろう)。
「また30分、歩いて帰ろか」
トボトボ…トボトボ…。
家に着き、湯船に浸かりながら振り返る。
「今日は、60分も体を動かしたことになるなぁ」
「うん、うん」
俺は、達成感を少し覚えた。

翌日は晴れ。
「今日も早く起きたし、歩いて会社に行こか」
ロードなら往復20分程度の通勤でも、歩けば60分。
トボトボ…トボトボ…。
やはり爽快感は無いが、「今日も体を動かしたわぁ。60分も」。
心が満たされた。

7月に入る。
既に暑い日々は始まっていたが、もう一段上のクソ暑いステージへ突入。
「死んでまうわ…」
そう思いながらも、徒歩通勤を続けた。s
時には、敢えて遠回りをして、「今日はトータルで90分も体を動かしたわぁ」。
水風呂に浸かりながら、にんまり。

まぁ、歩くことで達成感を得て、心が満たされるのは良いが、「ちょっと困ったなぁ」ということもあった。
まず、とにかく暑すぎる。
「日本の夏って、人間が生きられる環境じゃないよなぁ」と思いつつ、半泣きで歩き、会社に着いた時点で、Tシャツやパンツのベルト周りは汗でびしょびしょ。
気持ち悪い。
また、暑さと疲れで勤労意欲0。
「さぁ、頑張って仕事しよかぁ」という気など、微塵も起こらない(昔からか)。
更に、食欲も0。
昼も夜も、コンビニのおにぎりをかじる程度で仕事をこなした。
ただ、後になって思う。
「この『食欲0』が減量に繋がったんやなぁ」と。

休みの日は、ロードに乗って近所のサイクリングロードを走る。
いつも、クランクを回しながら考えることと言えば、「帰ってから何を食おかぁ?」だ。
しかし、食欲は湧かないし、いつの間にか胃袋が小さくなった気もする。
「あぁ…、王将に行ってもなぁ、前みたいに食う自信無いしなぁ…」
考える。
「酢豚+唐揚げ(JSM)+餃子+ライス…、無理やろなぁ」
「全盛期の俺ちゃうもんなぁ」
「年齢的な問題もあるんやろけど、今はほんまに胃袋が受け付けへんやろな」
「じゃあ、まずは中華飯を注文してやなぁ、余力があれば、餃子やら何やら追加するんはどうやろ?」
「さすがや。俺、頭ええなぁ」

家に帰って水風呂に浸かった後、餃子の王将へ。
「注文はお決まりですか?」
「はい、中華飯と瓶ビールで」
「ビールは料理と一緒に…」
「いや、先で」
カウンター席の隅で、グラスに注いだビールをちびちび飲んでいると、近くの席に座る作業服の男が目に入った。
「ほぉ、天津飯+唐揚げ+野菜炒め+餃子…か」
「量もなかなかやけど、セットにはとらわれへん注文をするとは、こいつ、やりよるなぁ」

「お待たせしました。中華飯です」
さて、ここでレンゲを持ち、そして考える。
最初に八宝菜の部分を多目に食べ、米だけ残りました…は避けたい。
となると…だ。
まずは、「米8」に対し「八宝菜2」の割合で食べ進め、途中から徐々に調整。
ラストの一口は、「米5」に対し「八宝菜5」の綺麗な形で幕を閉じる。
「いいねぇ」
「それでは、一口」
「あぁ、美味い…」

「あぁ、美味い…」
「あぁ、美味い…」
それを4回か5回繰り返したところで、「あかんわ。ギブしたい」。
胃袋が受け付けない。
休憩。
近くの席では、作業服の男が狂ったように食っているが、俺は死にかけ。

水を口に含み、作業服の男を見詰める。
「俺も、前はあんだけ食べれたのに…」
「中華飯だけで腹が膨れる今の俺、ほんまに情けないわ…」
「王将でガツガツ食われへん男は、男じゃないで…」
「はぁ…」
溜め息を付き、またレンゲに手を伸ばす俺。

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