(1002)母の病気-3

生駒にある宝山寺。
聖天さんという商売の神様が祀られている。
もう何年前かは忘れたが、飲み友達のMさん(70代 男性 飲食店オーナー)より、「宝山寺にお参りしたら仕事がうまくいくよ」。
そんなアドバイスをもらい、毎月1日と16日の縁日には、なるべくお参りするよう心掛けている。

早めに仕事を終え、会社の最寄り駅から電車に乗る。
生駒駅へは40分ほど。
「近鉄は居心地がええわぁ」
いつも、途中の鶴橋で眠りに落ち、生駒山のトンネル手前で目が覚める。

生駒駅から生駒ケーブルに乗り換え。
ケーブルカーの中で、聖天さんへの願い事を整理する。
願い事。
毎回毎回、仕事に関することばかりだが、今回は違う。
そう、仕事はどうでもいい。
胃がんの母親について、願いを、祈りを捧げたい。

5、6分で宝山寺駅に到着。
ケーブルカーを降り、石段の参道を登る。
これがなかなか辛い。
俺は普段からロードバイクに乗っているため、自分自身を「動ける40代」と設定しているが、ロードとは使う筋肉が違うのか?
石段のせいで、翌日、筋肉痛になることが多い。

鳥居の前で一礼し、顔を上げると数軒の屋台。
「お、開いてるな」
ここの屋台のたこ焼きは、なかなか美味い。
少し大きめのサイズで、甘めのソースが良い。
「ちょうど腹減ってるし、食って行こか」
「缶ビールも買ってなぁ」
「いやいやいや、ちょっと待て。たこ焼きよりも、先にお参りせなあかん」
屋台の前を通り過ぎ、惣門をくぐる。
俺は誘惑に打ち勝った。

「こんにちは」
心の中で挨拶した後、賽銭箱に僅かな金を入れ、手を合わせる。
「実はですね、うちの母親が胃がんになったと言ってまして…ですね…」

お参りを終え、いつもなら「どこで飲んで帰るか?」を考えるが、母親のことが気になり、気分が重い。
「ちょっと電話してみよか」
「もし、精密検査が終わってたら、結果を教えてもらいたいしなぁ」

「もしもし、俺やけど」
「あぁ、どうしたん?」
「精密検査、どうやったか知りたくて」
「うん、それがなぁ、○○病院に行った後、精密検査を受けに□□病院に行ってなぁ。あんたも知ってるやろ?□□病院っていう大きい病院」
「…」
俺は思わず「知ってるよ!」と叫びそうになった。
そもそも、病院のくだりは前にも聞いているし、そんな話はどうでもいい。
とにかく、俺が知りたいのは結果。
癌ステージや治る可能性、入院や手術のスケジュールだ。
経緯など後回しでいい。

気持ちに余裕が無いのだろう。
どうも、苛立ちを覚える。
「落ち着け、落ち着け」
自分にそう言い聞かせ、もう一度、母親に尋ねた。
「あんな、精密検査の結果が知りたいんやけど、どうやった?」
「あぁ、胃潰瘍やったよ」

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