(1019)酒肴・豊川(仮名)-2

あまり縁の無い路線の電車に乗り、よほどのことが無い限り降りることの無い駅で降りた。
傘を差すとパチパチ…パチパチ…。
駅前を少し歩けば、美味そうな焼鳥屋にうどん屋。
興味深い。
「ここに入ろか」
「いやいや、そらあかんわ」
俺は「酒肴・豊川」に向かわなければならない。

Tさん(40代 女性 小中学校の同級生)よりメールで送られた地図を確認し、「この道をちょっと進んだらええんか」。
車一台通るのも難しい、かなり狭い道をとぼとぼ歩く。
人通りは無く、「ようこんな所に店を出したなぁ」だ。
チャレンジ精神は買うが、俺ならしない。

薄暗い中、ぽっと明かりが見えた。
「ここかぁ」。
引き戸を開ける。
「いらっしゃませ。あ、krmくん、来てくれてありがとー」
「あぁ、どういたしまして」

とりあえず、テーブルに腰を掛けたが、何だろう?
強烈な違和感。
店内は、会議室に数個のテーブルを置いた感じ。
清潔感はあるが、無機質。
味気が無さすぎる。
更に…だ。
カウンターが無いのは、どう考えてもおかしい。

俺がイメージする小料理屋は、カウンター席に座るおっちゃんたちに料理や酒を提供しつつも、話し相手になってくれるお店の人がいる環境。
「全然、違うやんけ…」
「カウンターが無いって…」
普段、飲み屋に入って戸惑うことは少ないが、「何か嫌な予感がするよなぁ…」。

「何、飲む?」とTさん。
「瓶ビールで。あと、厚揚げもちょうだい」
注文した後で、メニューに目を通す。
「おぉ、『酒盗』に『さいぼし』かぁ。酒飲みの気持ちを理解してるなぁ」
「んで、『天ぷら盛り合わせ』に『枝豆』に、『ごぼうの天ぷら』か」
「他には、『アジフライ』に『冷奴』、『刺身盛り合わせ』、『鶏の唐揚げ』ね」
「で、その他には…」

どうも気になる。
メニューが気になる…と言うか、気に入らない。
「揚げ物」にしろ「スピードメニュー」にしろ「魚」にしろ、ある程度まとめて書かれていると、「『揚げ物だけでもこれだけの種類があるんかぁ。こだわってるんやなぁ』」。
そんな印象を持つが、実際のところ、順番も括りもめちゃめちゃ。
「とりあえず、美味いかどうかは分かりませんが、提供できるものをここに羅列しました」としか思えない。

「メニューだけでも、印象が全然違うのになぁ」
「改善の余地、ありまくりやで」
「まずはやな…」
そんなことを考えていると、Tさんに指摘したくなった。
しかし、「余計なことを言ったらあかんわ」。
自制心が働く。

俺の飲み仲間には、経営者が何人かいる(商売人と呼んだ方がしっくりくるか)。
彼らと飲み、そして話していると、たまにだが、場の空気が悪くなる。
それは、人様の商売、仕事に余計な口出しをする人がいる時だ。
例えば、「最近、○○のことで困ってましてねぇ。どうしたらいいですかね?」とアドバイスを求められ、「自分も○○で苦労しましたけど、××にしたら解決しましたよ」と答えるなら良い。
しかし、誰も聞いていないのに、「あんたの会社はなぁ、××したらええんや。あと、△△もな」と啓蒙活動を始める人(自分を大きく見せたいのか?)は、カス扱いされる。

「うん、軽蔑されるか恨みを買うだけや」
「聞かれてもいいひんのに、余計なことは言わんとこ」

つづく

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