(1021)酒肴・豊川(仮名)-4

肌寒いが心地好い。
外の風に当たり、酔いを覚ます。
しばらくして豊川に戻り、「瓶ビールをもう1本」。
厨房にいるTさん(40代 女性 同級生であり、この店の女将)より「まいど~」の声。

互いにビールを注ぎ、ふたりで飲む。
「なぁ、krmくんとこに、LINEあった?同窓会の誘い」
「あぁ、あったわぁ。無視してる。そういうの、定年退職する年齢でええかなぁ…と。まだ、忙しいから」
「あぁ、私もやわぁ」

他愛もない話を続け、3時間近く経過した。
客は常に俺ひとり。
「この店、大丈夫なんか?」と思う。
また、「そろそろ帰らなあかんなぁ」と思う。

「俺、帰るわぁ」
「まいど~。7,300円です」
支払った後、駅へ向かう。
「半分以上、お前が飲んだんやんけ」と思いながら。

翌日、会社で「うっわぁ。面倒くさいトラブルや…」。
頭を抱えながらパソコンの画面を見詰めていると、ブーブー。
振動。
スマートフォンを確認する。

「昨日はありがとー。また来てね!」
Tさんからのメールだった。
もうね、俺ね、こういうの本当に嫌い。
ちょっとした感謝を伝えるのは大人の対応…なのかも知れないが、こちらも「どういたしまして」と返さなければならない。
定型文vs定型文。
「読むのも返すのも面倒くさいから、お互いに無しでいきましょうよ」
そう思いながら、返事を書いた。
「どういたしまして」

早めに仕事を終え、「ちょっと走って帰ろか」。
サイクリングロードへ向かう。
早く家に着いても、酒を飲んでゴロゴロするだけ。
なら、少しでも…だ。
体を動かすことに時間を設けた方が、有意義かと思う。
「うん、まさにそうですよ」
「悟ったね、俺は」
「自分、大好き…」

自己愛に満たされつつ、クランクを回す。
回しながら考えることは、豊川のこと。
「次に行く時は、誰か連れて行こかぁ」
「Tさんも喜んでくれるやろ。売上に貢献するし」
「じゃあ、誰に声を掛けようか」

飲み友達の顔が頭に浮かぶ。
何人も何人も。
ただ、どう話を持って行けばよいか、どう誘えばよいか悩む。
「俺の小中学校の同級生がね、大阪で小料理屋をしてましてね、一緒に行きませんか?」はダメだ。
押しが弱い。
「○○が名物料理でね、めちゃめちゃ美味い店なんですよ!」
そんな風に話を持って行きたい。
ただ、実際に行った俺の感想では、「特に美味いわけでもないよなぁ」。
また、特に安いわけでもない。

向かい風を受けながら考える。
「あの店のウリって何やろう?」
必死に脚を回しながら、「あっ!」。
俺は気付いた。
「最寄り駅からは、まぁまぁ近いこと」
それだけ。

「特に美味くもなく安くもないですが、駅からはまぁまぁ近い店なんですよ。一緒に行きませんか?」
飲み友達を、そのように誘えばよいのか?
「う~ん」
わざわざ電車に乗って、しかも乗り換えて、駅からはまぁまぁ近いが、特に美味くもなく安くもない店に行きたがる人など、「おらんよなぁ…」。

「あかんわ」
「お手上げやわ」
俺にはどうしようもない。
ただ、これからの成長を、豊川の成長を見守りたいと思う。
近いうちに潰れてしまうかも知れないが。

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