(1036)パーフェクトデンキ 藤沢店 佐藤さんからの電話-1

クランクを回していると、「何や?」。
太ももに振動を感じる。
脚を止め、ポケットからスマートフォンを取り出し、「何や?」。
古い友人からの着信だった。

「おぅ、krm!久し振りやな!」
「まぁ、久し振りやな」
「お前、今、何してんねん?」
「今?ロードバイクに乗って会社から帰ってる途中。それだけ。別に面白い話なんかあれへんで」
「そうか。この後、暇か?」
「まぁ、予定は何も無いよ」
「じゃあ、難波で飲めへんか?」
「今からなぁ。う~ん、家に帰って、着替えて、電車に乗って難波…やから、着くん18時半ぐらいになるで」
「おぅ、18時半でええわ。待ち合わせ場所は、近鉄難波の改札を出たとこ…でええか?」
「うん、分かったわ」
「ほな、後で!」

友人と飲めるのは嬉しいが、気掛かりなことがひとつ。
それは、翌日の仕事。
早朝に大事な作業があり、普段よりもかなり早い時間に出社しなければならない。
「う~ん」
ひとりの社会人として思う。
明日の仕事に差し支えないよう、今晩は大人しく家で過ごし、早く寝るべきだと思う。
ただ、友人に断りの電話を掛けるのも心苦しい。
また、「つい10分前に『行く』言うてたやんけ!」。
そう突っ込まれるのが目に見えている。
「う~ん」

難波駅に着いたのは、18時20分頃だったと思う。
電車を降り、プラットホームを歩いていると、「何や?」。
胸に振動。
「あ~、はいはい」
胸ポケットからスマホを取り出しながら、「あいつからの電話やろ。どうせ、『すまん!ちょっと遅刻するわ!』やろ」と思ったが、違った。
「0466-××-××××」
着信画面に表示される、知らない電話番号。
馴染みの無い市外局番。

嫌な予感を覚え、無視しようとした。
が、良くない。
無視は良くない。
どうせ、気になって気になって仕方が無い…心境に陥るだろう。
後で。
「OK」
意を決して「応答」ボタンを押す。
そして、「はい、もしもし、krmですが」と言おうとした瞬間、電話が切れた。

「おぅ!」
改札の向こう側で、軽く手を上げる友人。
「とりあえずなぁ、寒いしなぁ、適当な飲み屋に入ろうや」
「はいはい」

適当な飲み屋に入り、乾杯。
「お前、最近どうや?仕事は」
「う~ん、忙しいけど、無駄にバタバタしてるだけって感じかなぁ」
「そうか。俺はなぁ…」
友人の話によると、出世街道脱落中らしい。
「ほんまなぁ、最近もなぁ、伝票の記入をミスってもうてな、『あなたはこの仕事を何年してるんですか?』って言われたで。かなり年下の上司様になぁ!」
まぁ、会社ではボロカスのようだが、元気なのは良い。
「それでなぁ、また別の件でな、あっちこっちに謝りに行って大変やったんや。ほんま、坊主にしよか思ったで!」
俺は相槌を打ちながら、時に笑う。
が、やっぱり気になる。
「0466-××-××××」が。

つづく

※この記事に登場する企業名、個人名は仮名です。

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