(206)俺のチェレステが、有名百貨店の紳士服売り場を彩る。-4

「どのロードバイクを、○○百貨店に展示してもらうか?」。
悩む。
候補として、Bianchiの古いsempre(2013年モデル)か、ARIAか。
sempreは、乗っていて「恐ろしく高性能だ」とは感じないが、使い勝手が良く、気に入っている。
ARIAは、無骨な感じがするエアロロード。
若干、癖はあるが、見てくれは良い。
「なら、ARIAをフィニョンさんにお貸しして、展示してもらおうぜ」となった。
勿論、チェレステのふんわりした色のフレーム。
そこに、FULCRUMのRacing Zero Nite(真っ黒なホイール)でも履かせれば、なかなか見栄えが良い。
決まった。

が、懸念もある。
想像すると、どうしても違和感を拭えないのだ。
「スーツを着て、エアロロードで通勤する奴がおるか?」。
俺は、毎朝、通勤時に歩いていると、スーツを着てロードに乗った男とすれ違う。
同じBianchiのNirone(エントリーモデル)だ。
ノーマルペダル。
しかも、キックスタンド付き。
「これこそリアルだ」と感じる。

俺が展示してもらおうとしているARIAは、見た目からして本気度が高い。
スーツを着て乗るロードではない。
当然、キックスタンドなんて付けていないし、ペダルはSPD-SLだ。
専用のシューズが無いと、まともにペダルを踏めない。
かと言って、リアリティーを出すために、マネキンにビンディングシューズ(SPD-SL)を履かすことまで、フィニョンさんは想定しているのだろうか?
否。
しているわけが無い。
「どうしよう…。俺はノーマルペダル持ってないし…」。
「かと言って、マネキンにビンディングシューズを履かすことも無いやろし」。
「矛盾の塊みたいな展示になってまうやん…」。

悩んでも仕方がないので、フィニョンの携帯番号にショートメールを送ってみた。
簡単に、俺の懸念を伝えたところ、「そんなん、どうでもいいですよ」とのこと。
続けて、聞いてみる。
「前後にライトを装備した状態で、お貸しした方がいいですかね?無灯火で通勤するロードってのも、変な感じがして」。
「あぁ、それもどうでもいいですよ」。
あまり細かいディテールには、こだわらないようだった…。

しばらくして、「ディスプレイスタンドもお借り出来ますかね?」と連絡が来たが、「それはいるんかい!?」と言いそうになりながらも、「いるよな」とも思った。
「参ったなぁ」。
俺は、メンテナンス用のスタンドは持っているが、ディスプレイ用は持っていない。
だからと言って、フィニョンさんに買わせてしまうと、展示が終わればゴミになるだけ。
フィニョンさんにとっては、無駄な出費だ。
「ならば」と、俺は梅田のウエムラサイクルパーツに向かった。
「展示が終わっても、俺はディスプレイスタンドを使うかも知れん。買おう。そして、とりあえずフィニョンさんにお貸ししよう」と。
なんて優しいんだろう。
俺。

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