(224)伊勢に行くべきか?埼玉か?自転車イベントの件-1

「伊勢志摩サイクリングフェスティバル?」。
近鉄難波の駅で電車を待っていた俺は、壁に貼られたポスターに目を奪われた。

ロードバイクを担ぎ上げた3人の写真。
「ロードで、伊勢を走るんか?」。
興味が湧く。
「で、12月1日、志摩スペイン村を走る…と」。
俺は大阪市で生まれ育ったので、小学校の修学旅行は伊勢と決まっていた。
確か、ぶらじる丸という船でカツカレー食ったり(人生初)、真珠の養殖を見学した気がするが、当時はスペイン村なんて無かったと思う。
「スペイン村って、景色が綺麗なんかな?」。
「う~ん、綺麗でも、テーマパークの作られた景色より、田舎の海沿いを走って、漁港で景色を見てってのが、風情があってええんちゃうかな?」。
ポスターの前で、俺なりに想像してみた。

「やっぱり、なんか違う気がするよなぁ。俺は自然と泥臭い町の景色の方が、性に合うわぁ」と、思ったところ、気になるキーワードが。
「サイクルトレイン?」。
サイクルスポーツかなんかの雑誌で、見た気がする。
サイクルトレイン。
ロードを輪行バッグに収納しなくても、すんなり乗れる車両。
吊革にロードを固定したり、専用のラックがある車両。
「うわぁ」と思う。
「これ、めちゃめちゃ乗りたいやんけ!」。

いてもたってもいられない。
スマートフォンで、公式サイトにアクセス。
が、サイクルトレインが、何時にどこの駅を出発して、費用がいくらいくらで…という情報は無かった。
「coming soon」みたいな文字が貼り付けられていたと思う。
おいおい、もったいぶるなよ。

とりあえず、今の時点で俺ができることをしよう。
誰か誘っておこう。
「そや、Tさんや!」。
Tさんとは、以前、明石市へ一緒に走り、ともに明石焼きを食った仲だ。
しかも、その後、「一緒に、この××の自転車イベントに参加しませんか?」と誘われた。
まぁ、誘われた時点で、受付が締め切りになっていたのだが、わざわざ誘ってくるということは、「そういう類いに参加したい」という気持ちがあるのだろう。
俺は、伊勢志摩サイクリングフェスティバルのURLを貼り付け、Tさんにメールした。

「こんなんあるんですね。とても素敵なイベントだと思います」。
気を使っているのか、おちょくってるのかわからん返事が来た。
「自分は、サイクルトレインに興味があり、一度乗ってみたいと思っていまして」。
「そうですか。素敵ですね」と、Tさん。
続けて、「ところで、今、お酒を飲んでいて、このイベントのことを忘れてしまうと思うので、後日、もう一度メールを送ってもらえますか?」。
俺は、「はぁ?」だ。
「面倒くさいわ。そこまでフォローするん、アホらしいわ」と思い、ひとり参加の方向で検討してみた。

数日経ち、再度、公式サイトをチェックする。
サイクルトレインについての情報が、アップされているではないか。
電車の往復運賃と宿泊代(2食付き)、バス代で、俺が乗りたい駅からは、23,700円。
「あ、これ、2名1室の場合やから、1人で行ったら値段が上がるなぁ。さらに、イベントの参加費も別に払わなあかんとなると…、30,000以上!?」。
参加する意欲が一気に低下した。
が、飯無しの安いホテルも選べるようだ。
その場合、参加費も込みで20,000ぐらい。
 「まぁ、セーフか」と思いきや、「ホテル周辺に飲食施設がありません」という一文が、妙に引っ掛かる。
絶望的に何も無い所にあるホテルなのだろうか。
また、この金額も、前提として2名1室の場合なので、1人参加だと高くなってしまう。
悩む。

「やっぱり、Tさんにもう一度メールしてみよう」。
1人より2人の方が楽しいはずだし、少しでも安くなるのはいいことだ。
俺は、メッセージアプリを起動する。
以前送ったメールをコピーし、貼り付けて、「さぁ、送信!」のタイミングで、「ちょっと待てよ」。
俺の中のストッパーが作動した。
「Tさんと2人で旅をして、本当に大丈夫か?」。

社会的ステータスの高い仕事に就いているTさん。
普通に、世間から一目置かれる人。
ただ、遊び仲間である俺からすると、骨の髄までだらしない人なのだ。
また、過去に、ちょっとした旅行でTさんと一緒になったことがあるのだが、こういう時、無駄にテンションが高い。
「修学旅行中の中学生か?」と言いたくなるような張り切りっぷりで、常にうるさい。
常に口が動く。
相手のことなどお構い無しに、徹底的に話したいことを話し、その矛先がこっちに向くと、俺は詰められてるような感覚に陥る。
宿に着いても、酒を飲んで徹底的に話し続ける。
そして、「さぁ、寝よかぁ」という時間になり、「やっと静かになるわぁ」とほっとするのも束の間、大音量のいびきが始まる。
「うん、頭おかしなるわ。誘うん、やめとこ」。

と言うわけで、伊勢志摩サイクリングフェスティバル、やっぱり、ひとり参加の方向で考える。
俺としては、費用をはっきりしたいので、近いうちに、近鉄難波の営業所に行って、話を聞いてみたいと思う。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする