(256)さいたまクリテリウムを含む、最高の関東旅行。~フルーム選手!~

さいたま新都心駅のホームでたじろぐ俺。
目の前にいる外国人を見て、「これは夢か…?」。

その外国人は、なんと…、「うおー!フルームや!」。
ありえない…。クリス・フルーム選手。

「とんでもない人が、目の前にいる…」。
「あのフルームと会えるなんて、信じられない…」。
そう思ったのは、俺だけではないようで、驚きながらも感激するファンが、フルーム選手に押し寄せた。

フルーム選手は、この数年間、世界最強のプロロード選手である。
世界中にいるロードレースを観るファンの中で、彼を知らない人は、間違いなく、ひとりもいないだろう。
とにかく、「強い」、「強すぎる」。
そんな選手なのだ。

俺は、Bianchiのロードバイクに乗っているので、Bianchiがフレームを供給するプロチームを応援しようと、ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアを観ているが、フルーム選手が所属するチーム・スカイは、強すぎた。
ブラッドリー・ウィギンス選手がエースを務めたチーム・スカイも強かったが、フルーム選手がエースになってからは、観ていて興醒めするレベルだ。
「どうせ、フルームが個人総合優勝するんやろなぁ」と、毎回、諦め気分で画面を見つめるしかない。
まぁ、俺のフルーム選手に対する感情はその程度だったが、沿道の観客が紙コップに入れた尿をフルームに投げつける事件があったように(「ドーピングしてるんやろ!?」という意味を込めているのだろう)、強すぎるが故に、憎悪の対象となる。
実際、フルーム選手はドーピング問題に直面した。
子供の頃から喘息に苦しんでおり、レース中、喘息の薬を飲んだところ、尿サンプルより異常値となる薬の成分が検出された。
結果的には、「シロ」であったが。

「それにしても…、何故、フルームがここにいるのだろう?」。
今年のツール・ド・フランスにおいて、フルーム選手は怪我を負い、この日のさいたまクリテリウムが復帰戦になることは知っていた。
「でも、普通、プロの選手って、チームのバスで帰るもんちゃうの?」。
ファンにサイン書き、写真撮影に応じる、笑顔のフルーム選手を見ながら、俺は不思議に感じた。

ホームに電車が入線する。
「一流選手は、やっぱりグリーン車に乗るんかな?」と思っていたら、俺と同じ普通車に乗り込んだフルーム選手。
電車の中でも、数人のファンに囲まれ、気分良さそうにコミュニケーションを取っている。
それを、俺は2mほど離れた位置で、ぼんやり眺めていた。
ちょくちょく、彼らの会話が耳に入る。
どうやら、フルーム選手は、このまま電車に乗って、横浜に行き、ラグビーワールドカップの南アフリカ対ウェールズを観戦するようだ。
「そう言えば、フルームは南アフリカで育ったって、雑誌か何かで目にしたな」。

電車が上野駅に着いた。
俺は、降り際にもう一度フルーム選手の顔を見る。
「この人、目元がすごくかわいいな」と思った。

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